内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

もっと軽く!【その2】

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さて、まずはこのMAGURA 油圧クラッチキット』の取り付け方法です。
キットには丁寧な取説が入っており、それにも書かれているのですが、レバー荷重を軽くするために、クラッチレリーズアームのリターンスプリングを外す』ことになります。
 
リターンスプリング?それどこ??
 
はい、正解は『右側ケースカバーの中』。
つまりは、カバーを外さなければなりません。そのための作業がちょっと面倒です。でも、『究極の軽さ(大げさ)』をゲットするために、妥協は禁物です!
 
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まず、スキッドプレートを外して、エンジンオイルを抜きます。

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次に、クーラントを抜くんですが、ドレーンボルトはこの位置。
ただし、ボルトを抜いても、すぐにクーラントが排出されるわけではありません。
そう、ラジエターキャップを外して、冷却通路の圧を抜かなきゃダメ。
 
ラジエターキャップ?それどこ??(2度目)
 
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はい、正解は『右フロントカウルの内側』なんですねー。キャー、めんどい。

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キャップを外すと、クーラントがドレーンから吹き出しますので、予めジョッキなので受ける準備をしておきましょう。今回、自分は受け止めたクーラントを再利用しています。
 
いよいよ、右ケースカバーの取り外しに入ります。
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まずは、ケースカバーに繋がるウォーターホースが2ヶ所あるので外します。

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クラッチワイヤーも外しちゃいます。

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ケースカバーのボルトはドレーンボルトを除いて15本。
そのサイズがすべて同じ!というところに、きちんと整備性まで考慮されたCRFの良心を感じずにはいられません。
プラハンなどで軽く叩きながら、カバーを外します。
まだ走行距離が9000km弱だったこともあり、ガスケットは固着せずにきれいに剥がせました。
また、ウォーターパイプが一本、クランクケース側に嵌まり込んでいますので、カバーは上下方向にはずれてくれません。ひたすら根気よくカバーを手前に浮かしていくイメージです。

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ほらこの通り。赤丸で囲んだパーツが、クラッチレリーズアームのリターンスプリングです。

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これはアームを少し引き上げるだけで外せます。

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ちなみに、アシストスリッパークラッチ本体はこんな感じ。
これもいつか自分でクラッチ板を交換する日が来るんでしょうか。
まあ、ここまで出来たので、作業自体は問題ないと思いますけど。
 
これで下準備は完了。ケースカバーを元に戻します。
オイルはもちろん、クーラントの入れ忘れのないようにご注意ください!
 
そして、いよいよキットの取り付けです。
マスターシリンダーをハンドルバーに仮固定します。
ノーマルのレバーホルダーにはクラッチスイッチがあり、ギアが入っているときはクラッチレバーを握っていないとセルが回らないように安全装置となっています。
MAGURAのオプションパーツにクラッチスイッチ用の配線は用意されているのですが、コネクタの形状が違うため、いずれにしても加工が必要です。
今回は、ノーマルの2本のコネクタを短絡させることで、回避しています。
ただしこの場合、ギアが入っているときにレバーを握らなくてもセルが回ってしまいます。その点だけ注意が必要ですね。
 
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そして、ノーマルのクラッチホルダーを外してしまうと、バックミラーのマウント位置が無くなってしまいます。
MAGURAのオプションパーツとして、ミラーホルダー一体のクラッチパーチが出ているんですが、ミラーマウント位置が随分と手前側になってしまうんですよ。そうすると、右ミラーとの前後位置が大きくずれてしまうので、自分はあえて『DRC製のミラーホルダー』を別付しています。
これにはもう一つ理由があって、転倒時にミラーに力が加わった時に、マスターシリンダーを破壊したくないからです。
 
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次にスレーブシリンダーをクラッチレリーズアームに取り付けます。
小型のスレーブシリンダーなので、カウルを外さなくても何とか隙間を通せます。慣れるまでは下側からライトで照らしながら、通せば問題なし。
カーボン素材のホースはそれ自体に剛性があり、慣れてくれば簡単に通すことができます。

この時に注意が一つ。
スレーブシリンダーから出ているロッドは、絶対に押し込んではいけません。
シールが壊れる場合があるそうです。なので、スレーブシリンダーを隙間に通す際に、どこかに引っかかったからと言っても無理に押し込むのは避けましょう。
レリーズアームにロッドの先端を引っ掛けたら、スレーブシリンダーを引いてロッドを繰り出しながら、ケーブルガイドに本体を引っ掛けて装着完了。お疲れ様でした。
 
そして、ここからが微調整。
まず、マスターシリンダーの位置決めです。
クランプ位置をなるべくスイッチボックスぎりぎりに寄せます。スイッチボックスとの干渉を極力避けるために、このキットではロングレバーを使用しています。
そのため、手の小さい人にはちょっとレバー位置が遠いかもしれません。自分もそうでした。なので、なるべくクランプ位置はスイッチボックスに近いほうが、レバーが握りやすいと思います。

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そうなると、今度はレバーアジャスターのダイヤルがボックスに干渉します。(写真の赤丸部分)

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そこで、スイッチボックスの角をリューターで削ります。
もちろん、やすりでもOK。成形品のスイッチボックスは、角部分の肉厚にそれなりに余裕があります。

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様子を見ながら削ってはいますが、このくらいであれば貫通する心配はありません。(写真の赤丸部分)
 
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次にスイッチボックスに干渉するのが、レバーのドックレッグ部。赤丸点線の部分が、ボックスの赤丸部分に当たります。
ここも削ってあげることで、握り代を深く取ることができます。
手の小さい自分の場合、レバーアジャスターを一番締め込んだ状態にしてしまうと、クラッチが切りきれないことがありました。それを避けるための保険のようなものです。
 
最後に、スレーブシリンダー側のプリロードの調整です。
これはシリンダーの座金とケーブルガイドの間に、付属のワッシャーを挟み込むことで調整します。
枚数を多く入れると(キットには3枚付属)クラッチの切れは良くなりますが、常に半クラッチ状態になってしまう場合があります。
自分の場合は何度もテストした結果、ワッシャー1枚で落ち着きました。
この状態で、200km以上走行テストを繰り返しましたが、問題はありません。
 
旧型のMAGURAの油圧クラッチキットでは、スイッチボックスとの干渉を避けるため、リーチの長いクランプボディがあったんです。
しかし、新型はボディが1種類に統一されてしまったために、このように加工を施した次第
それでも、操作荷重の低減という当初の目的は十分に達することができました。この軽さは握った方は確実に驚かれると思います。

…とはいえ、結構マニアックでシビアな取り付けになっています。
MT仕様オーナー全員が欲しがるかと言われたら「?」ですが、多少の制約と引き換えに得られるメリットをどう見るか?というところですね。
興味のある方には、是非当方の車輌で体験してみてほしいです。
 
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最後になりますが、自分のワガママに最後まで付き合ってくださった、MAGURAの代理店様とラフ&ロード横浜店に、改めて御礼申し上げます。
本当にどうもありがとうございました。