先日の排気バルブカバーに取り付けた、スムースドライブシステムのボルトはあくまでも序の口。
「ちゃんと調べてみたいから、一度持ってきて」
ということで、NGC-JAPAN 小林氏の工房に行ってきました。
こうやってCRMに触れるのは初めてのようで、自身の持つKDX250SRとの違いに興味津々。
先日、すでに“シリンダー側”となる排気バルブカバーには『スムースドライブ』ボルトを取り付けています。
これだけでも違いは歴然でしたが、今回の目的は“全部盛り”。
まずは“シリンダーヘッド側”の取り付け位置を探ります。
先日取り付けた“シリンダー側”とは役割が異なるため、“シリンダーヘッド側”への取り付けは効果が期待できるのだとか。
さて、CRMのシリンダーヘッドにはサーモスタットカバーが付いているのですが、シリンダーのスタッドボルトを兼ねているため、一本だけ材質置換をするのはちょっと気が引けるとのこと。
結論としては、ラジエターからのホースバンドを使用します。
『スムースドライブ』ボルトのついたバンドに入れ替えて
これでヨシ。
お次は“前後の足回り”。
フロントはインナーチューブ下端に、『スムースドライブ』ボルト付バンドを取り付けます。
バンドを巻き付ける際にテンションが強めなので、先端を少し内側に曲げておくことで取り付けやすくなります。
左のフロントフォークはキャリパーステーがあるため、まず外側にあるフォークカバーの取り付けボルトを一旦外し、
少し拡げることでバンドを下端に固定します。
収まり具合もこのようにスッキリと。
リア側は構造上ショックユニットのボトムマウントへの取り付けが不可能なので、スイングアームのチェーンガードの取り付けボルトを『スムースドライブ』ボルトに入れ替えます。
最後に“キャブレター部”です。
キャブボディの前後にあるインシュレーターバンドのボルトを交換します。
標準状態でのボルト固定位置は、前後ともインシュレーターバンドの下側にあるため、
軽く緩めて、作業しやすい位置までバンドを回転させます。
これは、奥側にある正方形のナットがバンド本体に溶接されておらず、ボルトを外した際にバンドのテンションで飛んでしまわないように指で押さえておく必要があるからです。
『スムースドライブ』ボルトに入れ替えたら、元の固定位置に戻しておきます。
エアボックス側はインシュレーター下にクリアランスがあるので比較的簡単なのですが、エンジン側はスペースがあまりないため、ナットの紛失を避ける意味で念のためウェスを敷いて作業しました。
また、キャブヒーターのホースクランプも開放して、作業スペースを確保します。
ここでも少しバンドを手前側に回転させることで、ナットを指で押さえた状態でボルトを取り外しています。
スムースドライブボルトを取り付けてから、元の固定位置に戻してから本締めしました。
これで前後ともに交換完了です。
最後に“前後ホイール”に『タイヤバルブ用放電ナット』を取り付けて完成です。
“全部盛り”にしたところで、いよいよ実走です。
エンジンを掛けたところで、小林氏も笑っちゃうほどにエンジンノイズが低減されているのが分かります。以前、“排気バルブカバー”のボルトを交換した際にもその現象は確認できていましたが、流石に“全部盛り”は一段違います。
スロットルを空吹かししただけでも、スムーズな吹け上がりと振動が抑制されていることが確認できます。
以前にも書いたように、このバイクは元々硬質な振動が強く感じられたんですが、ここまで変貌するとは思いませんでした。
ローギアに入れて走り出した時、まず感じられたのは明確な力強さ。
低開度域でのスムーズな行儀良さはありつつ、そこから少し開けていった時の分厚いトルク感は取り付け前には無かったもの。
思わず
「速っ!」
と言葉が出てしまったほどです。
それにしても、開度1/8程度あたりのパーシャルでのクルージングの気持ち良さと言ったら。
市販トレールバイクとはいえ、これは2st.250cc。
ここまでの低開度におけるパーシャルだと、燃焼に引っ掛かりやしゃくりなどはどうしてもあるものだと思っていました。それがほぼ抑えられているんですよね。
まるでKTMやHusqvarnaの“TPI”のような、燃料噴射システムを採用しているバイクのようです。アナログ制御のキャブでここまで見事に調教されたフィーリングがなぜ感じられるのか、本当に不思議としか言いようがありません。
そして、スロットルオフにおける空走距離の長さは驚きを通り越して要注意のレベル。
元々NGC-JAPANの“アーシングヘルパー”や“スムースドライブシステム”を取り付けると、エンジンブレーキが穏やかになる感は以前より感じられていたものです。
しかし、今回は4st.車において体感できたレベルではありません。
確かに元々2st.車におけるエンジンブレーキの効きはあまり強くありませんが、今回のはちょっとレベルの違う空走感です。
まるでドライブチェーンをノンシールタイプに交換して、チェーンの張りを緩めにしたかのような。誤解を恐れずに言えば、“2st.125ccのモトクロッサー ”かと勘違いするほどに、エンブレの効きが感じられません。
うまく使えば高燃費に直結するかと思いますが、最初のうちは前走車との車間を意識して空けておいた方が良いかもしれません。そのくらいの変貌っぷりということです。
また、走行中常に感じられたのは、「随分とヒラヒラした乗り心地だな」ということ。
恐らくこれが前後足回りに取り付けた『スムースドライブシステム』の効果なのでしょう。
それでいて、段差を踏んだときの衝撃はきちんといなして吸収してくれている。
まるで「軽量ホイールに交換して、バネ下重量が軽くなった」かのようなフィーリングです。
これはモタードタイプの車両であれば、ワインディングなどでさぞや痛快な切り返しが味わえることでしょう。
ただ、今回のCRMのようにオフロードに向けたブロックタイヤを履いている場合、これが「接地感を得にくくなった」という印象をもたれる方もおられるかもしれません。
実際に走っていてフロントがすっぽ抜ける感じは皆無なのですが、あまりの軽快なハンドリングに人によってはそう感じてしまうこともあるかもしれない、ということ。
つまりは、そのくらいフィーリングが変わる、ということです。
今回“全部盛り”にしたことで、いろいろな意味で大きい変化を感じることができました。
一気にこれと同じ構成にすると、それなりにコストはかかるかもしれません。とはいえ、一つ一つの部品は“ボルト”、“ナット”、“バンド”ですので、価格は推して知るべしです。
そしてこれらの利点は、「半永久的に効果が得られること」。
また、「様々な車種に使い回すことができる」のも、これらの部品の楽しみ方と言えます。
取り付けることによる“デメリット”というのは正直ありませんが、自分の求めるフィーリングと違ったのであればその部品だけ外せば良いのです。
しかしながら、結果的に我が家のバイクには、NGC-JAPANの何らかのパーツが取り付けられているという事実。
それは単に自分が
「面白い!」
と感じることができたからに他なりません。
形状も含めて、確かに
「“オカルトパーツ”感は否めない(笑)」
のですが、実際に付けてみるとなかなかどうしてバカにしたもんじゃない、と言い切ることができるくらいに自分は気に入っています。
もし興味がおありでしたら、まずは一度試してみてはいかがでしょう?
自分のバイクについているものでしたら、お貸しすることもできますので!