美和ダムを出てしばらくは道幅も広く舗装も綺麗な快走路。
しかし、峠が近付いてくると一気に標高が上がり、タイトなワインディングとなります。
それでも、まだここまではキレイなほうですけど。
そして、上りきったところが『分杭峠(ぶんぐいとうげ)』。
パワースポットとして知られるところで、地球内部の未知エネルギーの出入り口である『ゼロ磁場』と呼ばれるちょっとした観光名所だったり。
いや、自分もあまり意味がよく分かってないんですけど、『癒しのスポット』でもあるらしいです。
で、ちょっと有名になっちゃったりしたもんで、峠の頂上付近が渋滞してしまったらしく、今ではシャトルバスで訪れるようなところになってしまいました。
さらに入場料という名の『環境整備協力金』が徴収されるようになったので、自分はこれ一枚撮っただけでそそくさと退散。
いや、過去にはゆっくり訪れてますからね。ココ。
そして、峠を下りきったところが、『日本で最も美しい村』との看板が立つ大鹿村。
最も美しいって凄いなーと思って、帰ってから村のHPを調べてみたんですが、『日本で最も美しい村連合』加盟とありました。
「最も」なのに「連合」って。。。と、ささやかな疑問はさておき、ここで国道を右へ折れ、県道を北西方向へ。
走ること8km、着いたところは当然、
『小渋ダム』です。
横を通るのは3回目くらいのはずなんですが、このダムカードも初ゲット。
勿体無いことしてましたねー。
ちょうど轟音とともに、絶賛放水中!ナイスタイミングでした。
再び152号に戻って、南下開始。
ここがまた結構クネクネしてまして、切り返しがとても忙しい。
しかし、アフリカツインは嬉々としてコーナーを切り取っていきます。
車体の軽さはもちろん、現代的なディメンジョンのおかげでしょう。
この感じは、以前乗っていた『RD03 MATSUI SPL.』に近い印象ですね。
17インチのリヤタイヤの存在感が少し弱められたことで、とても『普通のオフロードバイク』のハンドリングを実現していました。
元々軽いRD03をさらに軽量化していたこともあって、本当に軽快な乗り味が印象的だったこのバイク。自分も大好きでした。
だから、今回のアフリカツインは、トリコロールを選んだんですけどね。(^_^);
閑話休題。
舗装されているとはいえ、林道区間の路面は荒れて一部はボコボコになっていたり。
それでも、新型の車体はバタつくことなく、高い路面追従性を保ったまま滑るように走ります。
こういうところって、以前乗っていたリンクレスでシャフトドライブのGS-Aだと、実はちょっと苦手。ギャップの衝撃なモロに来たりすることもありました。
リンクサスの恩恵はもちろん、『猫足』的な動きの良いサスペンションが、とても良い仕事をしてくれる新型です。
そして、スロットルオフでの下りで、ドライブチェーンが「チャラチャラ…」と音を奏でるあたり。
これがまた、自分にとっては名機ME06を思い出させてくれたりして。いやぁ、本当に素晴らしい!(変?)
エンジンブレーキの効き方も優しく、これならタンデム時に子供がシェイクされにくくなると思います。
諏訪からここまで、ほぼ走りっぱなしだったので、『道の駅 遠山郷』でしばし休憩。
早起きからか、少し疲れた身体に微糖の缶コーヒーが沁みわたります。
しばし放心した後は、気を取り直して再び車上の人に。
国道418号との分岐を経て、再び152号へ山深い森の奥へと進路をとります。
途中2箇所現れた工事中のグラベル区間で、トルクコントロールの介入度合いを『レベル1』に弱めて少しだけワイドオープン。ビシッとしたフロントの安定感のおかげで、リヤを振った場合でもあまり怖さを感じません。
ただ、自分が上手くなったように勘違いしてしまいそうですが、いくら素晴らしい制御がなされているとしても232kgの車重が軽くなるわけではありません。しっぺ返しを食った時のエネルギーは、かなり大きなものとなりますので、そこはビッグオフなりの注意と心構えは絶対に必要です。
そういえば、頂上となる『兵越峠』は、地図によっては『ヒョーゴエ峠』と書かれているものもありましたね。
『天竜区』と行政区分表示がされてはいても、とても『区』に入ったという感覚にならない、ここは山奥。(笑)
このまま下っていけば、遥か先には新東名の『浜松浜北IC』がありますが、ふと地図を眺めていて見つけてしまいました。
「あるじゃないですか、ダムが」
またしても152号を外れて、一山越えたところは愛知県との県境。
いやー、ここまで来る予定は全くなかったんですけど、来て見てその圧巻のスケールに圧倒。よくぞこんな険しい場所に、これほど巨大なダムを造ったな、と。
家族には「夕飯は家で食べるから」と言って出たものの、時刻はまもなく14時。
まだ昼飯も食っていないのに、自分がいるところはまだこんなに山の中。そろそろ先を急ぐことにします。
やはりここはおとなしく、浜松浜北ICから新東名にのるのが良さげ。
高速に乗ったところで回転上限を5000rpmにあげてみたところ、やばいくらいに速くてビックリしちゃったり。
このバイク、3000rpmでも5000rpmでも、緊張感が全く変わらないんですよね。これは優れた空力性能の現れでもありますが、もう一つ重要なのは『バランサーの出来の良さ』だと思います。
本当に振動が増えないんですよね。ほとんどと言って良いほど、手に振動が来ません。
一つだけ苦言を呈するなら、「速すぎる」ということくらいでしょうか。
RD07と比べて、巡航速度が15~20km/hくらい速くなる印象を受けました。
排気量差はもちろんありますが、車体の性能が良過ぎて、速度の感じ方が幾分鈍くなってしまうように思います。
何事にも自制心は必要ですが、免許は大事にしたほうが良さそうです。(苦笑)
それはともかく、車線変更のフィーリングが、スピードによって大きく変わったりしないのも凄いところ。ホンダさん、これ相当に作り込んだんでしょうね。本当に恐ろしいほどに良く出来たバイクです。
そして、これが一番大事なところ。
「どの速度域で走っていても、気持ちに余裕を持って楽しめること。」
ただ『移動が快適』なだけのバイクじゃありません。
まだまだ先へ行ってみようと思わせる。
寄り道してみようと好奇心を掻き立てる。
ダートでもターマックでも余裕を持って対処できる。
全てが新型アフリカツインの持つ、日常から一歩踏み出すための『冒険力』とも言うべき性能から生み出されるものなのだと。
誤解を恐れずに言えば、『トヨタ的な“正しいバイク”を造るメーカー』であるとのイメージを、自分はホンダに対して持っていました。
しかし、今回のアフリカツインにはきちんと、開発者のこれでどうだ!と言わんばかりの『コダワリ』が車輌の全てにこれでもかと込められています。
今回のCRF1000L AfricaTwinはそれと同等以上の強い想いを持って、自分たち『アフリカツインファン』に対して、15年ぶりにホンダが自信を持って送り出してくれたバイクです。
帰宅して、メインキーをオフにした瞬間に、「もう少し走りたかったな」と思わせてくれるバイク。
今度のアフリカツインには、そういう『性能』が備わっています。
慣らしはもう少し続きますが、改めて「買ってよかった」と思えるバイクに出会えたことがとても幸せです。
ああ、ツーリングレポートらしからぬ終わり方になってしまった。反省。