内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

ナラシ運転

(今回はひたすら走り倒したので、文字だらけです。悪しからず)

 

長く続いた“緊急事態宣言”もようやく終わり…とは言ったものの、まだまだ油断は禁物。

それでも、 “移動制限”も少し穏やかになってきたこともあり、ひとっ走りしてきました。

コースは『SD04』のナラシでも使った、諏訪から浜松を経由して一回りするというもの。

横浜の自宅からだと、だいたい650kmといったところでしょうか。

ほぼ全線ワインディングのような『国道152号線』を約200km含む、大好きな快走日帰りルートです。

 

こんな一気走りのルートでも何となく目的はありまして、

・往路の中央道(諏訪まで)の区間は、一定回転(3000〜3500rpmくらい)を維持してピストンとクランクの馴染みを取る。

・アップダウンのあるワインディングルート『国道(酷道?)152号』では、特に低速側のミッションを満遍なく使う。

・帰りの新東名→東名高速では、5・6速で少し上の回転まで徐々に上げていく。

といった感じでしょうか。

いずれにしても、頭をカラッポにして一日バイクとの対話に没頭するにも最適なんですよね。

もう何度走ったか分からないくらい、お気に入りのルートです。

 

 

ミッションはDCTに変わったものの、『SD04』でも同じルートを走っていますので、確実に違いを体感できました。

 

特に、自分が乗っていた’16モデルは音量規制が入っていたため、最高出力は92ps。

それに対して、今度の『SD10』は102psと10%以上も出力向上しています。

これで速くないわけがありません。

下からのトルクはもちろん、高回転域でのダッシュ力は

「マジでハンパない。」

 

また、その速度域でのフロントタイヤからのインフォメーションも、『SD04』に比べて確実に向上しています。

それでも、ワインディングにおけるセルフステアの“きびきびとした反応の良さ”はきちんと存在。

操安担当の方による“味付けの妙”をしみじみと感じます。

 

そして、一番の違いは“電子制御”の緻密さ。

‘18モデルの『SD04』から採用された『スロットル バイ ワイヤ(TBW:電子制御スロットル)』は、『SD10』になって更に磨きが掛かった感じです。

特に微開時における反応のマナーの良さは絶妙。

例えが適切かどうかはアレですが、

「これなら自信をもって、タンデム・フルパニアで“すり抜け”出来るかも」

と言ったところでしょうか。

要はそのシチュエーションでは、スロットル操作に対して唐突に反応するエンジンは好ましくない、ということです。

DCT車ですから、速度の微調整はクラッチではなくリアブレーキを軽く引き摺ることで行うことになりますが、それがスロットル操作だけでほとんど足りてしまうのではないか、と思えるほど。

 

‘18の『SD04』のTBWには、極低回転域ではどこかスロットルに対してほんの少し反応を待つようなところがあったように思います。

また、反応したらしたで、ほんの少し“ドン付き”のような挙動を感じてみたり。

今回のこの『SD10』におけるTBWの味付けに、制御担当の方は相当苦労されたのではないでしょうか。

これならワイヤー引きからの乗り換えでも、少なくとも自分に違和感は全く感じられませんでした。

 

また、『トルクコントロール(TC)』の介入が絶妙です。

このルートで路面の荒れている区間があるんですが、以前の『SD04』ではリアがギャップを拾ってトラクションが抜けた瞬間に制御が介入してしまい、グリップが回復した瞬間に失速するような挙動を感じたことがありました。

そういう時は、敢えてTCをOFFにすることで違和感をなくしていたんですが、『SD10』ではもはやその必要はありませんでした。

 

とはいえ、まだDCTのシフトチェンジタイミングに自分の想いとズレるところがありますね。

ワインディングにおいて、『Dモード』『Sモード(1~3の3段階)』をあれこれ試してみたんですが、現時点における自分のベストは『S2』でした。

そうは言っても、それ以外の区間においてはオールマイティな『Dモード』で全く不自由はありません。

意識的にエンジンブレーキを効かせたいときは、オプション追加したシフトスイッチを軽く踏み込めば問題なし。

自分は手が小さいので、左スイッチボックスにある“シフトスイッチ”よりも操作性が格段に高いように感じています。

 

最後はやはり、何と言ってもこの“軽さ”には脱帽せざるを得ません。

いえ、絶対的な重量はもちろんあるんですよ。1100ccのビッグバイクですからね。

あくまでも“装備重量”で言うと、

【SD04】MT仕様(’16モデル):232kg

【SD10】Adventure Sports ES DCT仕様:250kg

と18kgも増えているわけなんですが、誤解を恐れずに言えば走行時にそれを感じることは一切ありません。

ロングストローク化されたことによりエンジン全高も高くなっているのですが、ふらつきなど感じさせることもなく、前後タイヤのグリップ感はしっかりと伝わってきます。

それでいて、切り返しでのスムーズな身のこなしは格別。

自分的には、軽くリアブレーキを引き摺った状態で、フロントの接地感をハンドルに感じたままにコーナーを切り返す時などは快感を覚えっぱなしです。

とにかく、随所に“進化”を感じる『SD10』です。

 

そして改めて思うのは、歴代のアフリカツインそれぞれに“深い味わい”があったなぁ、という事。

14年のブランクを経て、大幅にアップデートされた車体とパワフルなエンジンを得た『SD04』は、少しばかりやんちゃでワイルドな乗り味。

また、熟成されたXRV最終型となる『RD07』の、まるで路面にリアタイヤが張り付いているかのようなしっとりとした乗り味には、どこか“GS的なもの”を感じてもみたり。

同じ『アフリカツイン』という名前を持ちながらも、それぞれがそのモデルならではのキャラクターを持ち合わせているところ。

それでいて、随所にしっかりと「やっぱり『アフリカツイン』だよね」と共感できるフィロソフィーが感じられるところに、このバイクの愛される理由があるのだと思います。

 

現実的ではありませんが、許されるのであれば

「その日の気分で『アフリカツイン』を乗り分けたい」

という想いを抱いたとしても、決して間違ってはいないのでは…と。

まあ現状では、それはあくまでも“妄想”に過ぎませんが、自分なりに最新型の“電脳アドベンチャーバイク”ならではの楽しさを追求していきたいと思います。