内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

2015北海道ツーリング【3】

◆8月8日(土)

いわき湯本ICを過ぎると、路肩にポツポツと電光掲示板が現れる。線量計のモニタリングポストだ。
はじめは1μSv/h未満だったのが、北上するにつれて数値が上がっていく。
そして、富岡と浪江の間での5.2μSv/hという数値が最高値だった。ここが一番『フクイチ』に近い、ということになるのだろうか。
その場に留まるわけではないので浴びる線量は少ないのであろうが、一般道である国道6号ではバイク・自転車に対して通行規制が敷かれているエリアが残っていると聞く。
まだ終わったわけでは全く無いのだ。

3/1に開通した区間は、ほぼ対面通行となっている。
交通量が少ないためか大型車も多く、その都度ペースは落ちてしまうがかえって捕まる心配をしなくて済むのはありがたい。
遠くに街の灯りが見えてくると、いよいよ常磐道も終点。仙台市に入る。
仙台の中心部を挟んで、東北道とは反対側の海側を走る。山間を縫うように走る東北道とは対照的に、仙台空港の横をかすめるように平野部をひた走る。

松島へ向かう三陸道から分かれて、富谷JCT.から東北道へと入る。
対面通行のスピードに慣れた感覚を、三車線のハイスピードな流れに対応させなければならない。
一番左の車線…とはいっても3桁の速度域ではあるが、バイクは悠々と流れに乗っていく。
ここからは1200ccが本領を発揮するステージだ。
とはいえ、友部SAから300kmほど走ってきたこともあり、長者原SAでしばし仮眠をとる。

1時間ほども寝ただろうか。
さすがにこの時期なので、真夜中とは思えないほど、引っ切り無しに車が出入りしている。
今日の予定からすると、ここまででようやく半分の行程だ。
無理に先を急ぐ必要はないが、熱いコーヒーで自分に喝を入れる。
GS-Aの33Lタンクは、ときに気が大きくなりすぎて困る。
まだ1/3ほどガスが残っている。行けるところまで行って、そこで次の休憩をとろう。

途中、何度かポツリと来たりはするものの、ここまで本降りにならずに済んでいる。
岩手県に入った頃、ようやく空が白み始めてきた。どうやら天気はこのまま持ちそうだ。
盛岡手前の紫波SAで再度爆睡。ここまで来ると、少し車もバラけてきたように思う。
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朝のひんやりした空気が気持ちよく、すっきり目覚めることができた。

いよいよ青森県。昨年と同じく碇ヶ関ICで高速を降りる。
道の駅いかりがせき』で、今年から配布が始まった『遠部ダム』『久吉ダム』のダムカードを入手するためだ。
朝9時の開店にあわせて到着したが、気持ちよく分けてくれた。
空気が澄んでいるのだろう、刺すような日差しが照りつけてくる。
夏休みの始まりから、幸先の良い朝だ。

昨年はここから『浅瀬石川ダム』に直行したのだが、今年はもう少し時間がある。
となれば、少し寄り道になるが、十和田湖に立ち寄っていこう。
2車線のワインディングを駆け上がっていく。
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登り切って、空が開けたところが発荷峠(はっかとうげ)だ。
大学一年の時、モーターサイクル部の夏合宿のステージが東北だった。
初めてのロングツーリング、合宿前に同期の友人と東北を走り回っていたところ、この峠で先輩とばったり会った。
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あれから26年。きれいに整備された峠には、十和田湖を望む展望台が出来ていた。

ここまで来たら、やはり26年ぶりの奥入瀬にも行ってみよう。
発荷峠から湖畔まで下っていくと、コーナーごとに濡れた路面が増えていく。
当時は無かった『奥入瀬バイパス』の入り口を、躊躇なく通り過ぎる。やはりここは、奥入瀬渓谷沿いの国道102号を遡上したいところだ。
しかし、奥入瀬渓谷に向けて左折したところで、少々後悔することになる。
先ほどまで激しく降っていたのだろう、路面はヘビーウェットだった。それ以上に、驚くほどに観光客の車と観光バスが集中していた。
それに輪を掛けるかのように、路上駐車の車で溢れている。そのため、観光バス同士がすれ違えずに渋滞を引き起こしているのだ。
本当は自分もバイクを降りてカメラ片手に散策するつもりだったが、あまりに無秩序にそこここに放置されている車を見ると、バイクとはいえ迂闊に停めるのは気が引ける。
残念ではあったが、少々ウンザリした気持ちのままに奥入瀬を通過した。
こんなことなら、『奥入瀬バイパス』を走ってみるのも悪くなかったかもしれない。

国道4号はやはり交通量が多い。
市街地を通るため、フルパニアでのすり抜けは気を遣う。あまりやりたくないが、寄り道で少し時間を食ってしまっている。少々先を急ごう。

野辺地から下北半島へ。
ここでも、もう一か所ダムに立ち寄っていこう。
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先の2ダムと同じく、今年からカードを配布し始めた、かわうち湖を湛える『川内ダム』だ。
昨年、一昨年と下北半島は訪れていたが、このダム湖沿いのルートは初めてだった。交通量の少ない、爽快なワインディングルートだ。
同じく半島西側を走る国道338号は、アップダウンを繰り返す2車線のタイトな九十九折れなので、むしろこちらの県道のほうがメインルートに思えるほどだ。

ここまで来るのだから、と思って昼食は我慢していた。
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どうせなら、昨年のリベンジといこうではないか。そう、『ぬいどう食堂』だ。
昨年は台風の影響もあり不漁だったので、残念ながら生うに丼にありつけなかった。
宿題を残したままではスッキリしない。早々にリベンジとばかりに、今年も狙っていたのだ。
相変わらず店内は満席に近かったが、今年はすんなり席に着くことができた。
しかし、残念なことに今年も『生うに丼』は食べることができなかった。やはり天候不良がが原因だそうだ。
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悩んだ挙句、アワビといくらの『二色丼』をチョイス。山のように盛り付けられたアワビの歯応えを楽しみながら、一気に平らげた。
またしても宿題は繰り越しとなってしまったが、また訪れる楽しみがあるとも言える。
もうしばらくは下北半島から卒業できないような気がしてきた。

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『ぬいどう食堂』のある佐井村から、フェリーターミナルのある大間港までは1時間ほど。
ここまで来れば、あとは陸奥湾に沿って北上するだけだ。
昨年散策した仏ケ浦の眼下に眺めながら、断崖絶壁沿いの激しいアップダウンを走る。荷物満載ではあるが、こういう時にも1200ccのトルクが頼もしい。

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予定通り、15時過ぎに大間港フェリーターミナルに到着。
今年も津軽海峡フェリー『大函丸』に乗船する。駐車場は乗船待ちの車とバイクで溢れていた。この時期ならではの賑わいといったところか。
長声一発。定刻の17時にフェリーは本州を後にする。津軽海峡を一番短い部分で繋ぐ、わずか90分の船旅だ。
快晴の海は穏やかで、揺れも少ない。2等船室で横になると、いつしか眠りに落ちていた。

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船内のアナウンスが、そろそろ到着することを告げている。
今年もやってきた。いよいよ函館だ。
バイクの下船は一番最後になるのだが、逸る気持ちを抑えられない。
何度となく経験していることではあるが、やはりバイクでフェリーを降りる瞬間は格別の想いがある。
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夕焼けに染まる函館港フェリーターミナルに降り立つと、本州より一段涼しい空気が迎えてくれた。
やはり北海道のそれである。

今日は昨年と同じく、五稜郭の近くの宿を予約している。
チェックインして身軽になってから、サンダルをひっかけて街へ繰り出した。
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函館での夕飯といえば、『ラッピ』こと『ラッキーピエロ』と決めている。ここ数年、定番のメニューだ。
名物と言っていいかは分からないが、函館のご当地バーガーショップであることは間違いない。
出来立てを食べさせてくれるのも嬉しく、今年初の『ガラナ』と一緒に堪能する。やはり美味しく、函館に来たことを実感した。

例年は最終日が函館泊となるのだが、今回は初日の夜。
明朝のフェリーの時間を気にして早起きする必要はない。
となれば、夜の函館を出歩いてみよう。
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路面電車函館市電に乗って、終点の谷地頭へ。ここには市営の温泉がある。
高校の時に最初に訪れて以来何度か来ているが、今回は24年ぶりになるだろうか。
聞けば2年前に民営化されてリニューアルされたらしく、自分の遠い記憶とは建物そのものが変わっていたようだ。
そうはいっても、少し熱めの湯には変わりはないようで、とても懐かしく思い出していた。

最終の市電に乗って、途中のコンビニでビールを買って宿へと帰る。
一年ぶりの『サッポロクラシック』を飲み干すと、北海道に来たという実感がより強くなった。
この旅の終わりまでに、何本空にすることになるのだろうか。旅はまだ始まったばかりだ。

【8/7~8の走行距離:973.1km】
(つづく)