内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

オフロードバイク大試乗会

先日、成田モトクロスパーク(以下、成田MXP)で開催された『オフロードバイク大試乗会』に行ってきました。
毎年開催されるJEC PROMOTION主催のこのイベント、実は昨年10月に開催される予定だったんですよね。
自分も申し込んでいたんですが、なんと大型台風接近に伴い急遽中止に。
時期が時期だったので、もう「今年は無いかな」と思っていたんですが、年を跨いで開催されることになりました。

イベントタイトルに“オフロードバイクと謳われていますが、実際はほとんどが最新モデルのエンデューロレーサー
それに思う存分乗れるというのですから、行かない理由などありません。
自分の愛機を持ち込んでのフリー走行も可能で、最新モデルとの比較も出来たりするわけなんですが、ゲップが出るほどに試乗しまくれる折角の機会ですからね。
愛機のKTMはお留守番です。ごめんよー。

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車輛メーカーはもちろん、出店ブースも軒を連ねて朝から大盛況です。
今回の出展メーカーは、

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【YAMAHA】

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【SHERCO】 

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【Beta】

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【GASGAS】

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【tm RACING】【FANTIC】
の6社。
各社、最新の2020年モデルを中心に、2st・4stを問わず様々なモデルを持ち込む力の入れよう。
これは本当に嬉しいことですよね!
FANTICは『CABALLERO』というストリートモデルを中心に持ち込み、成田MXPに隣接する特設コースでの試乗を行うなど、プロモーションに力を入れていました。

その中において、国産メーカーがYAMAHAのみ…というのは、ちょっと寂しいかなぁ。
以前は“赤いメーカーさん”も来てくれていたんですけどね。
そのメーカーさん、全日本モトクロスのワークスチームが昨年いっぱいで解散。
折角エンデューロマシンも出してるんですから、オフロードカテゴリーにおいてもマーケットリーダーを発揮してほしいと願うところなんですが…

“中の人”、どうなんですかねー?

出店ブースとして、
【Technix】 【MC GEAR】【木下電機(Vee Rubber輸入販売元)
が精力的に参加。(写真が無くてゴメンナサイ!)
サスペンションスペシャリストのTechnixは、自社モディファイの足回りに換装した試乗車を用意。
皆さん、こちらも興味深く乗られてましたね。

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(鈴木さん、画像いただきました。m(_ _)m)

凍っていた路面が緩み、朝イチは若干スリッピーなコンディションで試乗会はスタート。
でもこの時期、これが “成田MXP”のデフォルト。
むしろ、「そういう路面でエンデューロマシンを試乗させてもらえる」というのは、むしろよりリアルに感じられるものがあろうというものです。
フルドライの路面じゃ、自分なんかでは「うん、どれも乗りやすい」で終わってしまう可能性がありますからね。

2つ目のコーナーを曲がった先にある“丸太ゾーン”では、最初スタックが発生していましたが、成田を知り尽くしたJECスタッフの尽力によりスムーズに解消。
本当に頭が下がる思いです。ありがとうございます。

試乗コースはエンデューロコースの他に、成田MXPならではのダイナミックなモトクロスコース(ショートコース)での試乗も可能。
こちらもマディなところはありましたが、赤土のエンデューロコースに比べればサンド質の路面はグリップも良好でしたね。

徐々にグリップレベルが回復していったところで、昼頃からまた少し雨に祟られてしまいましたが、非常に楽しく走り回らせていただきました。
f:id:furasora:20200116222442j:plain車輛メーカー、出店ブースの方々はもちろん、主催のJEC PROMOTIONの中西夫妻をはじめスタッフの皆さま、そして成田モトクロスパークの皆さまに改めて感謝いたします。
どうもありがとうございました。


最後に、それぞれが個性的で魅力あるバイクばかりでしたが、ここで

“自分的好印象マシン”をピックアップ!
(あくまでも、自分の“主観”です。あしからず)

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【Beta RR2T200】
“DT200R世代”の中間排気量好きとしては、今回一番乗ってみたかったバイク。
同社の250とフレームサイズは変わらないはずなのに、排気量から来るコンパクトさと軽快感はとてもユーザーフレンドリー。
200ccならではの「回せるエンジン」は、やはり2st車において快感以外の何物でもない。
市販車とは別次元のパワフルさに、オイルミックスがBeta独自の“分離給油”であることが俄かには信じられないほど。
少々気になった点は、「ハンドル切れ角の少なさ」と「フロントフォークのダンパー感の弱さ」。
フォークは「作動性が良い」という言い方もできるが、もう少ししっとりしている方が自分としては好み。
とはいえ、ピボット部をスリム化した'20フレームは、ステップへの加重だけで車体がヒラヒラと踊らせることができる。
それでいて接地感の抜けは無いので、サスペンションも含めて「これがBetaのバランス」なのだろう。

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【YAMAHA YZ250FX】
'19モデルでフルモデルチェンジされたモトクロッサー『YZ250F』をベースとして、エンデュランサーの“FX”もメジャーアップデート。
前評判通りの軽快な乗車感は、以前乗っていた'15モデルが“重戦車”に思えるほど。
しっかりと縦方向を固めた車体は、丸太セクションでも前へ前へときちんと進むが、それでいて倒し込みの粘りは感じない。
一番効いているのは、エアの吸入路を兼ねるシュラウド部のスリム化。
これによりフロントからペタペタ寝かせられるハンドリングは、もはや快感。
'90年代前半からYZシリーズには乗ってきているが、そのたびにシャシーの進化には感動すら覚える。
もはやエンストの心配など不要とばかりに、エンジンマネージメントは完璧。
そして、何よりスロットル・クラッチの操作系の軽さ。こういうところが最高に気持ちよく乗れるファクターの一つ。

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【tm RACING 2T250ES EN】
一言でいえば、とにかくパワフル。
実は、昨年'19モデルを山で試乗したことがあるが、全てが自分にはスパルタン過ぎて、正直なところ「仲良くなれそうに無い」という印象だった。
しかしこの'20モデル、まずはサスペンションの作動吸収性がとにかく良い。(特にフロント)
オツリなどとは無縁のサスは、それを活かす強固なフレームがあってこそ。
キャブレター仕様のエンジンは、下から上までスムーズに吹け上がる。ただ、それが自分のKTMと比べて、パワーが体感“2割増”。
モトクロスコースでの試乗において、少しのストレートでもフロントがポンポン浮くが、“きちんとした”車体がそれを怖いと思わせない不思議。
「'20モデルなら乗れる」と思わせてくれるが、今の自分にはもう少し“優しさ”が欲しいところ。
パッケージとしての完璧さは、全てにおいて「ちゃんと乗れ」とバイクに言われている感じ。やはりtmは“プロの乗り物”なんだと思う。
けれど、これは究極の“麻薬”。一度は所有してみたいと切に思う。

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【SHERCO SE250 FACTORY】
今回乗ってみたかった一台の中において、自分の中でのベストマシン。とにかく“上質さ”がハンパない。
何が素晴らしいって、とにかくエンジン。
電子制御のパワーバルブと、36φのPWKキャブの組合せは、唐突なところが一切ない。何も注文の付けようがないのがスゴイのだ。
強制開閉式のスロットルホルダーを流用しているが、軽い操作感は微開時のコントロールにも優れている。
ステアリングの切れ角も大きく、10Lを超えるタンク容量を忘れるほどにターンインがスムース。
恐らくフロントのステムの距離・高さが、自分の乗り方に合ってるんだろうと思う。
一説には「KYBは固い」といわれるFACTORYモデルのサスだが、「動き過ぎない」ことと「奥での安心感」を得られた事から自分にとっては好印象。
ただ、自分のKTMにもついているWPの『XPLOR(エクスプローラー)』も作動性の良いフォークなので、これを採用するRACINGモデルとの評価が分かれることにも納得。
フィニッシュも、ブルーフレームだけでなくフレームカバーまでもがブルーだったり、フラッシュイエローのハンドガードやホワイト外装、そしてゼッケンベースのシルバーなど、フランス車ならではの“オシャレさ”をそこかしこに感じる。
それにしても、本当に良かった。あまりに良すぎて、3回も試乗したのはここだけのハナシ。
ただ、SHERCOは“4st”の軽さと楽しさにも定評のあるメーカー。そちらも是非とも試乗してみたかったところ。
でも、今の自分なら“軽さ”で“2st”かな…。

※番外編

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【SHERCO SE125 RACING】
全日本エンデューロ国際B級のタナジさんの個人車輛を、ご好意で乗せていただいた。
そうしたら、これがとんでもなく楽しい!
その“軽さ”は想像できたにしても、「これ、本当に125!?」と驚愕するほどにトルキー。
余談だが、モトクロス国内A級一年目の時、250で飛べていたダブルジャンプを125でショートして思い切りケース。

その衝撃で足首の軟骨を潰して「乗ったまま気絶する」という芸当を演じて以来、125に苦手意識が拭えないのである。
このSE125も電子制御式のパワーバルブを持ち、とにかく下から上への繋がりの良さがハンパない。
極低速からスルスルと加速していくマナーの良さは、誤解を恐れずに言えばクラッチなど不要と思えるほど。
エンストする気配は微塵もないが、標準でセル付きだから心配は皆無。
そして、車体の良さは250同様。これはRACINGモデルなのでWPサスだが、軽い車体ゆえにこの相性の良さは納得。
恐らくはKYBサスだと、もう少しパワーライドを求める手強さが出てくると思われる。
「この125なら欲しい!」と思わせるが、あえて無茶を言おう。
「“SE200 FACTORY”を作ってください!」(苦笑)

タナジさん、本当に貴重な体験をどうもありがとうございました。