長々と更新をさぼっていたわけですが、気がつけば年が変わって早くも1月が終わろうとしています。
新年あけましておめでとうございます。(遅すぎ)
さて、昨年も押し迫った頃、ホンダから『クリスマスカード(ウソ)』が届きました。
「あらら、SD10もそうだったんですか…」
実はこれ、以前から2018年モデルとして登場した『SD04(CRF1000L)』の『Adventure Sports(以下アドスポ)』モデルではよく聞かれたトラブルだったんですよね。
その頃から原因は
『フランジレスのフューエルタンクに見られる、製造時のエラーらしい」
と言われておりました。
なにやらゴミが燃料ポンプのフューエルフィルターに詰まってしまい、エンストやノッキングを引き起こすんだとか。
『アドスポ』のタンクは、'18モデルだけでなく、1100ccとなった'20モデルでも同様の現象が起きているらしく、ついにメーカーからリコールの発表があったわけです。
自分の愛機でも今日までに4回ほどエンストの症状が出ていましたので、少なからずフォルターにゴミが詰まっているものと思われます。
そこで、リコール対応のためディーラーさんに入庫することになりました。
店頭には自分のも合わせて、なんと4台もの『アドスポ』が!
しかも全部1100ccのモデルでした。売れてますねー。嬉しくなっちゃいます。
実は「作業が立て込んでいるので、1週間ほど預からせて欲しい」と言われてました。
そこでどうせなら、と“代車”をお借りすることにしたんですが、
「ウチの試乗車なんですけど、『CRF1100L』でどうですか?」
と言われたら断る理由はありません。
最初は125ccのスクーターという話だったんですが、
「それじゃツマンナイから、何か他の無いデスカ?」
と聞いたところ、コイツを貸していただけることに。
いや、お願いしてみるものだなぁと思いつつ、ちょっとだけ恐縮です。
このバイク、『CRF1100L』の『アドスポ』に対して“標準車”などと呼ばれたりもしますが、つまりは一番ベーシックな仕様の『アフリカツイン』になります。
しかし、これこそが『ホンダの良心』。
「アフリカツインはオフロードバイクです」
という主張を、プリミティブかつシンプルな装備に削ぎ落としたこの仕様で体現しているのでしょう。
このモデル、自分はアサマで開催されたイベント『RIDE AFRICATWIN』のダートコースでしか乗ったことが無く、実は一度ちゃんと乗ってみたかったんですよね。
あくまでも“試乗車”ということで舗装路オンリーですが、せっかくの機会ですので近所を70kmくらい走ってきました。
残念ながら(?)、全身から“連れてけオーラ”を発しまくる息子とタンデムです。
今回、お借りした車両は“MT(6速マニュアルトランスミッション)”。
サスペンションストロークを抑えてシート高を下げた、いわゆる“無印(ローダウン仕様)”という、一番シンプルかつ価格が抑えられたモデルです。
タンク容量も“18L”ということで、『アドスポ』よりも6L少ないとはいえ、前モデルの『SD04』と同じ容量が確保されています。
※国内仕様諸元では容量が切り捨てられているようで、欧州発表では“18.8L”、『アドスポ』は“24.8L”。
北米発表ではそれぞれ“5ガロン(約18.9L)”、“6.5ガロン(約24.6L)”となっています。
跨ってサイドスタンドから引き起こしての一言目は
「軽っ!」
もうこれに尽きますね。
諸元数値ですが、自分の『アドスポ』の装備重量“250kg”に対し、このバイクは“226kg”。
“装備重量”ということで満タンのガソリン分も含まれていますので、タンクの容量差“6L”を考慮すると、実際の重量差は“約20kg”ということになります。(ガソリンの比重を“0.737”として計算)
“全部盛り”の自分の『アドスポ』との仕様違いによる重量差としては、
・トランスミッション(DCT→MT):-10kg
・前後ショックユニット+コントローラー(電子制御サス→非装備):-2kg
となり、残りの“8kg分”は
・外装類(ロングスクリーンとか)
・リアキャリア(アルミ製でそこそこ重い)
・フューエルタンク(6L分でかい)
・灯火類(コーナリングランプユニット)
・ホイールセット(チューブレスリムの方が重いけど、チューブが無いのでほぼ誤差程度?)
といったところでしょうか。
いずれにしても、このクラスの重量車としてみたところでも“20kg”の差は体感できるレベルを通り越して、
「もはや別のバイク」
といっても過言ではありません。
ただ、ここで一点注文がありまして、
「サイドスタンド、短すぎじゃね?」
いくらなんでも、傾きが大きすぎませんかねー。
ロングツーリングでフル積載した日にゃ、停める場所によってはスタンドを支点として手前に倒れてきそうな勢いです。
また、タンデムした際にも、跨ってから引き起こすのはちょっと気合が入りました。
スタンドの接地面にゲタを履かせるのが一番簡単ですが、社外品でもう少し長いスタンドを探してみても良いかもしれません。
ちなみに、自分の『アドスポ』(ロングストロークサスの<s>モデル)もスタンドが短い傾向が見られたんですが、
以前の『SD04』に使用していたCAMEL Adventure Productsの『キャメル トウ サイドスタンド』に交換したことで、停車時の傾きが軽減されました。
これ、スタンド掛けたまま、フルパニアのタンデムで跨ってもびくともしません。超お気に入りです。
そして、このシュッとした“テールカウル”にウットリ。
キャリアステーを省くと、こんなにイケてるシルエットになるんですね。
これはメーカーも思い切ったなぁ、と。
「アドベンチャーバイクとしての立ち位置は『アドスポ』に任せて、こっちはあくまでも“オフロードバイク”ですから!」
という主張を、車体全体の造形で表現したに他なりません。
国内の法規制では“タンデムシートベルト”などという野暮ったいものが必須となるのですが、確かにそれがなければタンデムライダーが身体を支えられるものは皆無。
ウチの子みたいに、すぐ寝ちゃうヤツには不向きかもです。(これ、爆睡中)
“標準車”ですから、前後のショックユニットは『SD04』と同じグレードのものが付いてるわけなんですが、
改めて言いましょう。
「電サスは神」(いや、マジで)
タンデムしている息子の
「ウチのアフリカくんの方が、乗り心地いいかなー」
とのコメントにちょっとビックリ。
普段乗っている時に改めて“電サス”の恩恵を意識させられることは無かったんですよね。
というか、あまりに自然な乗り心地に違和感はもちろん、意識することさえ無かったわけです。
これも一重に“ショーワ様”のおかげ。(2021/1/1より『日立Astemo』に社名変更)
「調くん、どうもありがとう!」(謎)
そして、普段『CROSS CUB』と併用している自分は、
久しぶりに公道をクラッチレバー付きのMT車で走りました。(笑)
“DCT”とは言っても中身は“6速ミッション”であることは変わりません。
クラッチ操作を機械(油圧)がやるか自分でやるかの違いです。
久しぶりに激混みの鎌倉市内でハマりまくって思ったのは、
ということ。
シフトアップは圧倒的に“DCT”のほうがショックフリーなんですが、シフトダウンに至っては速度とギア段数を考慮して半クラ時間をライダーが調整できる手動のほうが、より繊細に操作が可能であるということですね。
また、1100cc排気量が増えたことによって、低回転域での力強さが増しており、トップスローからの開け口が上品かつ安定性が向上したように思います。
それゆえ、
「ミッション違いによる10kgの重量差を考慮して“MT”車を選ぶ価値は、より大きくなった」
と思いました。
とはいえ、一度“DCT”車の魅力を味わってしまうと、それはそれで抗い辛いものがあるのも事実。
「オフロードバイクで“DCT”が選べる」
というのもアフリカツインの大きな魅力であることを、再確認した次第です。
誤解を恐れずに自分なりに総括するなら、
・“フルパニア”を装着するなら『アドスポ』
・オフロードを楽しみたいなら“標準車”
と言ったところでしょうか。
丁寧に走れば、“標準車”でも400kmは無給油で走れると思いますので、ロングツーリングに向いていないという事では全くありません。
“標準車”の最大の魅力は、やはりその“軽さ”。
特にリア周りの軽さに拘った造りのこのバイクを、パニアステーやキャリアなどで重心から遠いところをウェイトアップするのは、ちょっとモッタイナイように思いました。
理想は『アドスポ』と“標準車”で二台持ち出来ればいいんですけどね。
ただし、その場合でも“ミッション選び”という、また贅沢な悩みはついて回ります。
どちらを選んでも後悔はないと思いますが、「無い物ねだり」というヤツは尽きないと思いますので…。
じっくり乗る機会が得られたのは、非常に良い体験でした!
【おまけ】
この時期は寒さが堪えるので、“ロングスクリーン”は用意したいところです。