午後の“決勝”までは2時間くらいあるので、このタイミングで『ナビチャレンジ』にトライです。
まずコマ図に導かれて着いたところは、“アサマレースウェイ”。
このフィールドの中をコマ図で巡りながら、途中5箇所のウェイポイント(WP)付近に隠されている設問マーカーに答え、セクションアウトするタイムを競います。
小雨降る中、すでに午前中の参加者が走り回ったアサマのコースは、フカフカでちょっと気の抜けないコンディション。
途中、何箇所かクレパスっぽくなっているところがあり、そっちに気を取られていたらあっさりと“WP3”を見落としてしまいました。
とはいえ、トリップメーターを戻すのが面倒だったので、まずは最後までCPをクリアしてからルートをもう一周する作戦に。
それにしても、隠されているマーカーの見付けづらいこと!
昨日の『アドベンチャーラリー』もそうですが、こういうのはコースレイアウターの性格が出るように思います。
かなり意地悪な場所に置かれているものもあったりして、カッパを着ていて良かったと思うほどに、雨に濡れた草むらを歩き回らされました。
それはそうと、ハ〇キさん!
あの“WP5”のマーカーの答えには、いまだに納得できていないですんけど…
セクションタイムは24分と早いほうだったらしいんですが、1問の解答ミスが響き、残念ながら賞典外に終わりました。
クヤシー。
『MASTER〜』の決勝に備えて早々に“浅間園”に戻ったものの、まだ1時間ほど余ってました。
決勝の舞台は、現在フリー走行でみんなが走っているルートをモディファイして使用する、とのこと。
日刊アフリカツインの仲間達が、「一度くらい走っておいたほうが良いんじゃないの?」と背中をグイグイ押してくれます。
だって、このタイヤであのヒルクライムはちょっとキビシイよなぁ、とすっかり日和っていたものですから。
とはいえ、どのくらい滑るのか?は知っておかないとマズイよね…と自分に言い聞かせて渋々コースイン。
エッジグリップをそれほどアテにできないので、丁寧にバンクをトレースするように愛機を進めていきます。
ヒルクライムの途中で再加速できるようなタイヤではないので、アプローチのスピードを保ったまま、勢いでクリア…したかったんですが、ちょうど開け始めのあたりにえぐれた箇所があり、リアショックが暴れて失速。
アタック途中で登り切れないと判断し、坂の中盤で右側の草むらに離脱し、エスケープして戻ってきました。
パンクのリスクを考えるとあまりエアを抜きたくは無かったんですが、これはもう止むを得ません。
それでも1.5キロ程度までしか抜く勇気が持てなかった自分…。
再びヒルクライムにアタック。
さっきよりも順調に登っていきますが、やはり途中からホイールスピンが止まらず、諦めて右の草むらへ…で、今度は転びました。(涙)
それでも、昨年のこのイベント前に装着した『OUTBACK MOTORTEK』のガードが機能し、サイドカウルは無傷です。Good job!
更には、ジャーナリストの“松井大先生”に起こすのを手伝わせる、という暴挙に…。
その節はありがとうございました。
それにしても、
「これ、フルコース使われたら、絶対にアウトだな…」
ええ、例えこれ以上エアを落としたところで、自分の腕では登れる気がしません。
アプローチのギャップでリムを歪ませる覚悟で加速すればもしかしたらですが、そこまで愛機をイジめる気にはどうしてもなれず。
そして、いよいよファイナリストに招集が掛かりました。
まずは一周、コースを歩いて下見。
フリー走行のコースを一部ショートカットしてくれたおかげで、これなら自分も登れそう。
いくつかいやらしいコーナーはあるものの、全体的にはハマらずに済みそうな感じです。
ちなみに決勝はタイムアタック。
さらに、「足付きは良いけど、転倒したらそこで失格」というルール。
まだ小雨が降り続いていることもあり、何とかスリップダウンだけは避けたいところです。
出走順はリバーススタート。
つまりは、予選順位の下からアタック…ということで、ここでもトップバッターの栄誉をいただくことに。
マジですか、そうですか…。
でも、実は下見の時にちょっといいラインを見付けていたんですよね。
2コーナーのヘアピンを回った後、ワダチ通りにまっすぐ行かず、左の立木の裏を抜けるラインが。
そこを通ると、ヒルクライムを斜めにアプローチすることになるんですが、フリー走行で誰も走っていなかったのでギャップは皆無。
そこで初速さえ乗せてしまえば、ショートカットされたヒルクライムからの右コーナーにまっすぐアプローチできると考えました。
スタート前、転ばないようにすることで頭がいっぱいで、マナさんのインタビューに何を答えたか全く記憶にありません。
日章旗を構えるスターターの平地さんの笑顔も、この時ばかりは癒しになりませんでした。
でも、ヤルしかないのよね。スタート!
1コーナーはワダチをきれいにトレースし、2コーナー立ち上がりをショートしてラインを変えます。
誰も走っていない路面、草むらに隠れた石だけに気を付けながら、車体を暴れさせないように3速で速度を乗せていきます。
ストレートとはいえ、グリップをアテにできないブロックパターンですから、ヒルクライムに差し掛かってから開け直すのはNG。
良い感じでヒルクライムを斜めに突っ切り、右コーナーをターンしたらそこから下りです。
ここは今日一度も使っていなかったエリアなので、濡れた草が結構残っています。
フロントブレーキを人差し指一本で軽く握り、ギャップにサスを合わせるようにして下っていきます。
フリー走行のコースに合流して、逆バンク気味の右コーナーを慎重に…
プスン。
やっちゃいました、エンストです。(涙)
自分のCRFは『油圧クラッチ化』してあるため、純正クラッチホルダーにあるクラッチスイッチを短絡させてます。
そのために、再始動時には必ずニュートラルに入れてからでないとセルが回らないんですよね。
個人的には果てしなく長い時間に感じましたが、何とか再始動してリスタート。
最終コーナーを回り、ゴールまでの下りでスロットル全開!
…といきたいところですが、ゴール地点のボックス内にバイクをきっちり停めて初めて“ゴール”とみなされるので、どうしても探りながら開けてしまった自分です。
タイムは『1分9秒』。
攻めるには程遠く、とりあえず無難にゴールしたという微妙な手ごたえです。
まあ、転ばなかったからヨシとしましょう。
そして3番手は我らが日刊アフリカツインメンバー、人呼んで“ブラック店長”の登場です!
この方、XRVでモンゴルに挑み、その経験を活かして自分も愛用する電動マップケース“電マ”の開発から製造まで手掛けるという根っからのラリースト。
第1回のアサマレースウェイで一緒にコースインした際、ストレートを全開でブチ抜かれたのはちょっとしたトラウマに。(笑)
今回のファイナリストの中で唯一のXRV(RD07)使いということで、おのずと注目を集める存在です。
平地さんのカウントダウンが始まります。
10秒前。5秒前、4、3、2、1…プスン。
えっ、プスン!?
ブラック店長、痛恨のエンスト。
そして、なぜか会場から笑い声が…。
いやぁ、く〇ださん、持ってますね。参りました。
すぐさまリスタートし、コースをぶっ飛ばすブラック店長。
相当焦ったでしょうに、それでもミスなくきっちり走り切るあたりが憎らしいです。
そしてゴールタイムは自分より上。ホント、恐れ入りました。
ちなみにファイナリストはそれぞれ、かなり戦闘力を意識したタイヤを用意してきてました。(自分はともかく)
特に優勝した方などは、自走参加にもかかわらず、前後のスペアホイールを持参するという本気っぷり。
コンペティションとすれば、戦いはすでに準備の段階から始まっているわけですから、きちんと備えた方が勝つべくして勝った、というところでしょうか。
もちろんタイヤだけでなく、相当に見事な開けっぷりの走りには脱帽です。
改めて、おめでとうございます!
最後までスッキリとしない空模様の中、表彰式と閉会式が執り行われました。
これですべてのプログラムが終了となります。
今回、メイン会場を“浅間園”に移しての初開催となりましたが、雨が降ったり止んだりのコンディションにおいては、結果的にはアスファルトパドックであったことが幸いしたように思います。
ただ、思いのほか傾斜がついており、立ちゴケを含む転倒者が何人か出てしまったのにはちょっと残念。
この辺りは次年度への課題として持ち越されることでしょう。
とはいえ、梅雨どきに開催された屋外イベントということで、運営事務局サイドの苦労が偲ばれるところですが、それを吹き飛ばすかのような参加者の笑顔と熱気が自分には印象的に感じました。
今回で4回目を迎えた、『アフリカツイン』という同じバイクを愛する仲間たちの集い。
100点満点のイベントなんて、あり得ません。
それでも、このイベントを成功に導こうとする主催者と、ホンダ開発陣の熱量の高さとが相まって、コンテンツとしては十分満足いくものであったと感じています。
そして忘れてはならないのは、これは“オーナーズミーティング”であるということ。
一番大切なのは、参加する我々一人一人が“受け身”であっては成功しない、ということではないでしょうか。
イベントを楽しみ、良いところは伸ばし、足りないところについては改善点を双方で模索することが、次へと繋がるための一歩になるはず。
“XRV”から始まり、“CRF”へと受け継がれた『アフリカツイン』の伝統は、新たな規制である“EURO5”適合とウワサされるニューモデルへと受け継がれていきます。
メーカーが“次の一手”を考えているのですから、自分はそれを広めていく方向で協力を惜しまないつもりです。
きっと、皆さんも同じ気持ちをお持ちのはず。
そして来年も、今度こそはアサマの青空の下で。
また多くの笑顔にお会いできる日が、今から楽しみでなりません。
【おわり】