内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

2016北海道ツーリング【6】

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足早に通り過ぎてくれた台風7号のおかげで、朝から台風一過の青空だ。
何度となく北海道を訪れてはいるが、この時期に台風に出会うことはなかったように思う。これもある意味、『一期一会』というものか。
いずれにしても、今日からはまたしばらく晴れが約束された事に安堵する。
 
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ホテルをチェックアウトし、すぐにでも走り出したいところだが、昨晩から少々トラブルに見舞われていた。iPhoneSIMカードを認識しなくなってしまったのだ。
昨日の台風で少しばかり濡らしてしまったのは事実だが、それでも夜出歩いている時には問題なく使えていたのだから、突然としか言いようがない。スマホのナビなど無くても全く問題はないが、仕事絡みのメールまで受信できないのはさすがにまずい。
札幌駅近くのauショップ前で、サンドイッチを齧りながら開店を待った。

結局、少々年季の入ったSIMカードを新しくしてもらうことで、無事に復旧。こういう対応がどこでも無償で受けられるところに、大手キャリアの高い使用料を払う意味もあるというものだ。

時計はすでに10時を回っている。
今日は特に目的も無いのだが、この素晴らしい天気だ。夜はキャンプと決めていた。
そうとなれば、どこかで美味しいランチを…と、以前から行ってみたかった『東千歳バーベキュー』に向かうことに決めた。
千歳の東側、安平の国道234号沿いなので、ここからならそれほど遠くはない。

行き先が決まれば、気持ちにもスイッチが入るというものだ。
平日で混み合う札幌市内を抜け、国道274号を淡々と走る。北広島のあたりまで来てしまえば、車の流れが一段速くなる。
しかし、ここで目立つ走りは禁物だ。地元の車の流れには、素直に従うのが賢い。おかげで今まで、道内ではスピード違反で止められたことはなかった。
 
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札幌から1時間ちょっとで、目的地に到着。
開店時間はとうに過ぎているはずだが、店の様子が静かすぎる。嫌な予感は当たるものだ。
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店のシャッターには目立つように大きく、「臨時休業」の文字が並んでいる。
すっかり気が抜けてしまい、しばらく歩道に寝転んで空をぼうっと眺めていた。やっていないものは仕方がない。気を取り直して、また次回のお楽しみにとっておくことにしよう。

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とはいえ、それでも腹は減る。
だらだらと国道を南下し、見つけたセコマでランチタイムだ。小さめのパスタが税別100円とは恐れ入る。なんというコストパフォーマンスの良さだ。それと大ぶりのおにぎり、ホットコーヒーでゆっくりと腹を満たす。

さて、この先どうするか。
ぼんやりと地図を眺めていたが、どうにも考えるのが面倒になってきた。
たまには早めにテントでも張るか…そう思い立ち、このままキャンプ場へ向かうことにした。何となく日本海側に移動したくて、今夜はニセコの麓にある岩内の街を見下ろすサイトに泊まると決めていた。
最高の天気だ。これならオレンジ色に染まる空の下に積丹半島が見通せるだろう。

そこまで決まれば、あとは早い。
苫小牧まで南下して、国道276号で支笏湖を反時計回りに巡り、美笛峠を越えて喜茂別へ。そのまま倶知安から国道5号経由で一気に岩内を目指した。
途中、京極の町で立ち寄るセコマは、洞爺湖―小樽間を走り抜ける際のいつものお約束だ。
今日のこの気温には、夕張メロンアイスが最高に美味い。
 
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名前の通り、海を見下ろすこのキャンプ場は、整備が行き届いておりとてもきれいだ。
センターハウスの周囲はキャンプサイト外になるので、そこに張るならサイト使用料は要りませんよ、とのアドバイスに、ありがたく従うことにする。
それでも青々と生えそろった芝の上だ。1000円分、余計にラム肉を買うことで地元に貢献しよう。

テントを張ったら、まずは町まで買い出しに向かう。
今夜は最後のキャンプだ。わざわざ内地から持ってきたジンギスカン鍋を、ようやく使う時が来た。
そうなれば、やはり生ラムが欲しいところだ。ビールはスーパーで調達するも、ラムを求めて港近くの精肉店へ向かう。
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グラム400円超えとは、自分にとってなかなかのチャレンジだ。
しかし、ここで妥協しては意味がない。味付け肉のほうも美味そうだったので、それと合わせて500g
さすがにちょっと買い過ぎだったことは、あとで分かるのだが。
 
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キャンプ場のすぐ下にある日帰り湯で、今日一日の汗を流す。
もちろん、岩内温泉の掛け流しだ。湯船が2つあり、まずは『ぬる湯』に浸かる。これでも比較的熱めで、指先までじんじんと染み渡るくらいで心地よい。
すっかり温まったところで、せっかくだからと『あつ湯』に勢いよく足を差し入れたところ、あまりの熱さにすぐさま湯船から飛び出した。
ちょっと経験したことのない熱さに驚いていると、一部始終を見ていた地元の方が笑いながら「ここの湯は熱いだろう」と声をかけてきた。それも『あつ湯』に浸かりながら、だ。見ると、その人たちも顔中噴き出した汗でびっしょりだ。日ごろから親しんでいるのだろうが、やはり地元の方にとってもかなり熱めなのだろう。自分など、ものの数秒しか浸かっていないにも関わらず、両足のふとももまで真っ赤になっていた。
ふたたび『ぬる湯』にゆっくりと浸かり、一足お先に失礼した。
外はすっかり日が傾き、高台を吹き抜ける風は少しばかり秋を感じさせる爽やかさだ。ほてった身体を冷ましたくて、Tシャツの袖を肩まで捲り、ヘルメットのシールドを開けたままバイクを走らせた。

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キャンプ場の一番高いところまで上がってみると、名前の通り日本海を見下ろす素晴らしい眺めが広がっていた。湾を隔てて岩内の町の向こうに積丹半島が伸びている。
少し雲が出てはいたが、北海道らしい伸びやかな景色だ。眺めているうちに、積丹へも行きたくなってきた。
明日の予定はほとんど考えていなかったが、いずれにしても朝起きてから考えればいい。
 
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それはともかく、昼食を軽めに済ませたことでさすがに腹が減っていた。
テントに戻り、シングルバーナーに火を点けた。ジン鍋が十分に温まったところで、フチの部分にモヤシを大量投入。そして、先ほど入手した生ラムをのせていく。立ち上る脂の匂いがたまらなく食欲を刺激する。
肉を一度ひっくり返したところで、サッポロクラシックのプルタブを手前に倒す。これが戦闘開始の合図だ。100円ちょっとで手に入る簡易的なジン鍋なので、どうしても焦げ付きやすい。しばらくはひたすら肉との対話の時間が始まる。
まずは一切れ、口に放り込む。やはり旨い。厚さ5mmほどの肩ロースは柔らかく、口の中で溶けだした脂が甘く感じられるほどだ。それをクラシックで喉の奥へと運ぶ。至福の時間が流れる。幸せである。
そんな肉との対話を300g分楽しんだ頃に、ちょうど1缶目の500mlが空になる。我ながら完璧なペース配分だ。

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ラムの脂で炒めたモヤシをタレに絡めてつまみながら、もう一台バーナーを用意してパックのご飯を温める。第2ラウンドの味付け肉には、白いご飯がよく似合う。もちろん、異論はないだろう。
これはこれで柔らかく、とてもジューシーだ。大盛りご飯は少々やり過ぎたか、と思いつつも、箸がどうにも止まらない。
2缶目の500mlが空になったところでゲームセット。少々食べ過ぎの感が否めないが、心行くまで北の味覚を堪能したことで満足感もたっぷりだ。
食後のコーヒーを落とし、ようやく人心地ついた。
 
満杯だった日高のキャンプ場とは打って変わって、お盆が明けたことですっかり閑散としていた。
サイトに揺れるランタンの灯りもまばらだ。酒の切れ目が宴の終わり。ようやく21時を回ったところだったが、外は身震いするほどに冷え込んできた。テントに入り、寝袋に潜り込む。

夜中にトイレに起きだしたところで、一段下に張られたテントで若者たちが大いに盛り上がっているのが見えた。時計を見るとすでに0時を回っている。さすがにちょっと煩いな、と思いはしたが、とりあえずここは自分が寝てしまおうと考えた。
しかし、外の騒ぎは1時を過ぎても収まらない。あまつさえ、大声で歌いだす始末だ。
一段下のサイトには、他にも何組か家族連れがいたはずだ。もちろん、上へと抜ける声は自分にとっても迷惑この上ない。
いい加減痺れを切らし、そのサイトまで行って文句を言ったところでようやく静かになった。

少々大人げなかったようにも思うが、言われないと分からないというのも悲しいものだ。すっかり酔いも冷め、少しばかり後味の悪い夜になった。
 
8/18の走行距離:247.1km、宿:岩内 マリンビューオートキャンプ場】
(つづく)