内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

2015北海道ツーリング【6】

◆8月11日(火)

釧路の朝。
雲が重く垂れこめてはいるものの、何とか天気は持ってくれている。
霧雨は夜半で上がったのか、路面が乾き始めていた。意を決してカッパを仕舞い込んだ。

道東にバイクで乗り入れるのは、実に19年ぶり。
最初は25年前の大学3年の時、荷物を満載したFZR1000に革ツナギという出で立ちだった。
初めての北海道ツーリングに、自分も友人も万全を期したのだ。当時、ロングツーリングといえば、革パンが当たり前だった時代だ。
友人が筑波サーキットで拾ってきてくれた、使い古しのミシュランのTX23『HISPORT RADIAL』のショルダーが、ズルズルにとけるまで知床峠を飛ばしたのは若気の至りとしか言いようがない。

閑話休題
バタくんが「朝食はカキにしましょう!」と提案。あまりにもオシャレ過ぎるプランに、断る理由などない。
国道44号を東へ。1時間ほどで、『道の駅 厚岸グルメパーク』に到着。
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大ぶりの蒸しガキが2つで500円。これほど肉厚のカキは食べたことがない。
一口噛みしめると、ジューシーなエキスが溢れ出してきた。これは美味い!
ワンコインで朝からとても贅沢な気分になれる。バタくんに感謝だ。

積丹で渡された『振込用紙』を持って、厚岸郵便局で厄を払う。
収めたお布施は7,000円。旅の途中には痛すぎる出費だが、ケリは早めにつけてしまうに限る。
国道に戻っても良かったが、空が明るくなってきていた。となれば、海沿いの道が気分というものだ。
熊笹の生い茂る道道123号は右へ左へ上へ下へと、まるでジェットコースターのようだ。
風が強かったので、あえて霧多布岬はパス。
今思えば、ちょっと勿体ないことをしたかなと反省。ここまで晴天の霧多布、なかなかお目にかかれるものではないと思う。

浜中から道道142号へ。
通称『北太平洋シーサイドライン』は最高のツーリングロードだ。
初田牛までの区間は、一段高いところで海沿いを走る。横風が強かったが、多数の波が押し寄せる真っ青な海は、見ていて飽きることがない。
今回のツーリングにおける、最高の瞬間だった。

根室市街を抜けて、一路最東端へ向かう。
根室半島には東へ向かうルートが南北それぞれにあるので、今回は時計回りと行こう。
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12時前に本土最東端『納沙布岬』に到着。
ここを訪れるのは25年ぶり。大学3年の時、モーターサイクル部の同期4人でここまで来たのだ。
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幸いにも天気は快晴。目を凝らすと、北方領土歯舞群島の『貝殻島』『水晶島』が見える。
いちばん近い貝殻島で、ここからわずか3.7kmの距離だ。ただ、その3.7kmは近くて遠い。

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最近の納沙布岬の名物といえば、鈴木食堂の『さんま丼』だ。
バタくんは昨年も食べに来ているそうだが、自分に付き合ってもらうことにした。
この店を目指してきたのであろう、ライダーが外まで並んでいた。
1時間半ほど待つらしいが、ここまで来たら食べずにはいられない。灯台や土産物屋を眺めながら、待つことにした。

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ようやく運ばれてきた『さんま丼』はこの美しさ!
定食には贅沢に花咲ガニの味噌汁がついてきた。
さんまとご飯を口に運ぶと、鮮烈な美味さに驚いた。臭みなど一切ない、程よく脂ののったさんまに箸が止まらない。
これでもかと載せられたさんまの量に、幸せを痛感していた。
聞けば、これでも冷凍物だという。恐るべしクオリティだ。
時折、鋏を片手に、指先が痛くなるほどにトゲのごつい花咲ガニと格闘。さすがに身は少なかったが、甘みはしっかりと感じることができた。

圧倒的な満足感で店を後にし、この先のルートを決める。
天気予報は今夜も怪しい。しかし、恐らくバタくんとは最後の夜だ。
ならば、やはりここはキャンプで決まりだ。
道道35号を、今度は北側のルートで根室へ戻る。風連湖をかすめる国道44号を厚床で右へ。そこから国道243号を北へと向かう。
別海で再度右へ針路をかえて国道244号を少し走ると、右手に海が見えてくる。オホーツク海だ。
海岸線に沿って北上すると、右手に海に浮かぶ野付半島が見えてきた。そろそろ標津の街だ。

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今夜の宿は、『しべつ海の公園キャンプ場』に決めた。芝のフリーサイトがとても気持ちよさそうだ。
しかし、テントを設営している間に、早くも雨が落ちてきた。
すでに荷を解いている。ここは腹をくくるしかない。
互いにテントを張り、自分のより大きいバタくんのタープで雨をしのぐことにした。

準備ができたら、風呂と買い出しに出かける。すでに雨は本降りだった。
歩いてすぐのところにある『ホテル川畑』の温泉に浸かる。ちなみに、バタくんと同じ名字だが、何の縁も無いそうだ。
疲れをほぐしたら、次は食材調達。このホテルの並びに精肉店があるのはチェック済みだ。
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バタくんとキャンプとなれば、当然メニューはジンギスカンで決まり。
生ラムとサッポロクラシックを買い込んで、キャンプサイトへと戻った。
ジンギスカン鍋は昨日のK田ファミリーとのキャンプの際に、今日の分まで手に入れておいた。
そこに抜かりはない。何事も気分が大事だ。
そして、相棒と囲むジンギスカンの美味いことと言ったら!
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ビールとの相性は抜群、みるみる肉が減っていく。
こんなことならもう少し買っておけばよかった、と少し後悔した。

それにしても、オホーツク海沿岸だけに、夜になるとかなり冷え込んできた。
まさか8月のこの時期にして、吐く息が白くなるとは。横浜とは気温が違いすぎる。
寒さに震えながら、互いの寝床へと戻る。
天幕を叩く雨音は、強くなったり弱くなったり。相変わらず風は強い。
このまま雨雲が通り過ぎてくれることを祈りつつ、シュラフのチャックを顎先まで引き上げた。

【今日の走行距離:289.2km】
(つづく)