内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

2016北海道ツーリング【4】

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さすがに昨日のドタバタ劇で疲れていたらしく、今朝はのんびりと起床。
恐る恐る右腕を回してみるが、まだまだ違和感たっぷりだ。やはり外れたまま放っておいた時間が長過ぎたのだろう。靭帯が伸びてしまっているようで、どうにも肩の収まりがイマイチだ。だが、あまり考えてばかりいても仕方がない。旅が続けられるだけでも感謝しなくては。

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明るいところで、バイクのダメージを確認する。
変な言い方だが、きれいに横倒しになったことで、カウル類が完全に無傷で済んだのは奇跡としか言いようが無い。このツーリングの直前に交換したアルミのハンドガードが、しっかりとバイクを守ってくれていたのだ。
 
とはいえ、この右肩のだるさは、気分を下げるには十分すぎる。とりあえずバイクに跨り、国道をゆるゆると東へと向かう。
道路看板に『苫小牧』の文字を見つけて、ふと思い付いた。そういえば、今朝はまだ何も口にしていない。折角だからちょっと寄り道して、マルトマ食堂でのブランチはどうだ。時間はまだ10時少し前。今ならそれほど並ばずに入れるかもしれない。

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しかし、そんな甘い期待は通用しなかった。
すでにこの店は著名なグルメスポットなのだろうが、それだけではない。並んでいる人たちの会話を聞いていると、なんと地元の多いことか。つまりは、この人気も本物だということだ。
行列も昨年ほどではなく、1時間ほどで店内に通された。昨日の朝が海鮮丼だったこともあるが、苫小牧といえばやはり『北寄貝』。今年はマルトマ丼と並ぶもう一つの名物である「ホッキカレー」を試してみる必要があるだろう。
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ほどよくスパイシーなルーの中に、笑ってしまうほどたくさんの北寄貝が、これでもかと入っている。スプーンでどこをすくっても、必ず貝が付いてくる。コリコリとした歯ごたえが、とても楽しい。かなり満足して店を出た。美味しいものを食べると、少し痛みを忘れられるようだ。我ながら現金なものである。
 
本当は日高山脈沿いのダムを巡りながら、襟裳を目指して南下する予定だったが、今日はもうあまり走り回らずにのんびり行こうと決めた。日高で知人からの誘いを受けていたこともあり、ゆっくりとそこを目指して行こう。
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栗山ダムでカードをもらい、管理所近くのベンチでまったりと昼寝。
日差しは強いが吹く風がさらっとしているせいか、どことなく涼しさを感じるほどだ。1時間ほどぐっすり寝たおかげで頭がスッキリした。
 
再び車上の人となり、夕張を抜けて日高へと向かう。道道3号から右へ折れ、国道452号で紅葉山へと下る。セイコーマートのある大きな交差点を左へ曲がる。そこが国道274号。何度も走り慣れた大好きな道だ。穂別峠の長い長い登坂車線を上り切り、峠のトンネルを抜けると空気が変わる。日高だ。
自分のようなオフロードライダーにとって『エンデューロの聖地』とも言うべきこの地を訪れるたび、なんとなく背筋を正されるような不思議としゃんとした心持になるのは何故なのだろう。そんなことをぼんやりと考えながら、町へと続く国道を下っていった。
 
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市街地を抜けて、沙流川にかかる橋を渡った先にあるキャンプ場が今夜の宿だ。
盆休みということもあり、今までに見たことがないほどの大賑わいだ。フリーサイトも満杯だと言われたが、張れる所を見つけてくればOKとのこと。隣のスペースを快く勧めてくれた家族連れに礼をいい、テントを張らせてもらうことにした。

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町へと買い物に出ようと、再びバイクで橋を渡る。
今まさに日高の山へ沈もうとしている太陽の光が、沙流川の川面をキラキラと輝かせていた。バイクに跨ったまま橋の中央で写真を撮っていると、対向から走ってきた軽トラックが自分の横で停まった。

「何をこんなところで、カッコつけて黄昏てるのさ?」

声をかけながら車から降りてきたのは、自分を日高に呼んでくれた春木さんだった。
札幌に住むオフロードバイク専門誌の編集長で、会うのは実に2年ぶりだ。この週末は、9月に開催されるHTDE(Hidaka Two Days Enduro)のコース整備のために来ていたのだ。

「買い物なんていいから、今夜一緒にバーベキューでもしよう」

嬉しい誘いに少しだけ恐縮しつつも、断る理由なんてあるはずもない。
バイクをキャンプ場へと戻し、みんなと一緒に温泉で汗を流す。

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車で町中にある日高モーターサイクリストクラブのクラブハウスに連れて行ってもらうと、すでに準備が整っていた。この夏最初のジンギスカンだ。やはりここで食べるのは格別に美味い。

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ここ数年、生ラム肉にハマっている自分だが、こちらでは丸い冷凍のラム肉も好んで食べるのだという。ロース肉と比べると多少クセがあると言うが、自分には全く気にならなかった。
初対面の人達ばかりだが、そこは同好の士である。気取らない会話を肴に酒が進み、楽しい夜が更けていく。

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冷えてきたのでクラブハウスで飲み直していると、春木さんが一つ提案してきた。

「明日、朝から日高の山へ走りに行こうよ」

自分のために、エンデューロバイクを貸してくれると言う。
昔から日高のエンデューロに憧れを持つ自分にとって、これ以上の申し出はない。
多少肩の不安が頭をよぎるが、無理をすることはないだろう。皆の心遣いに心から感謝しつつ、一足先にキャンプ場へと戻った。

空を見上げると満天の星空が広がっている。
そういえば、昨日はペルセウス座流星群の極大日だったはず。流れ星の一つでも見えないかな、としばらく眺めていたが、8月とはいえ北海道の夜は冷え込みがキツイ。
一気に醒めていく酔いに身震いしながら、夜露に濡れはじめたテントに潜り込んだ。
 
8/13の走行距離:224.2km、宿:日高 沙流川オートキャンプ場】
(つづく)