内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

2015北海道ツーリング【9】

◆8月14日(金)

天気予報は外れてくれたようで、今日も朝から快晴に恵まれた。
小樽市街を見下ろす天狗山を流れる風は、涼やかで気持ちいい。
昨日のうちに買っておいた朝食を、荷造りしながら娘と部屋で食べる。
今日一日は、娘が主役だ。

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小樽といえば、ガラス産業で有名だ。
元はニシン漁で栄えた街だが、その漁に使うための『ガラス製の浮き玉』の生産を中心に産業へと発展した、という話だ。
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朝早くから観光客で賑わう、運河近くにあるガラス工芸店で、『トンボ玉』の製作体験を楽しむ娘。
ガスバーナーの炎に多少ビビりながらも、お姉さんの指導を聞いて上手に作っていた。
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20分ほどで見事完成。ガラスが冷めるまで少し時間がかかる、とのことで、目の前のストリートを散策して待つことにした。
びっしりと立ち並ぶ土産物屋を順番に尋ねながら、同級生への土産も無事に見つけられたようだ。

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再び店に戻って、『トンボ玉』を受け取る。
アレンジされて根付となったものを見て、娘もご満悦。まだまだ可愛いものである。

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少し早いが、ランチへと移動する。
小樽を代表する食といえば『寿司』はもちろんだが、個人的には『揚げ鳥』も推しておきたい。
そもそも北海道といえば、『ざんぎ』と呼ばれる鶏の唐揚げが有名だが、ここ『なると屋』では『若鶏の半身揚げ』が味わえる。
実は10年ほど前にも家族で来たことがあるのだが、その味をもとめて今回の再訪となった。さすがに娘は、もう覚えてはいなかったが。

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自分は『若鶏定食』をオーダー。
久しぶりすぎて忘れていたが、運ばれてきた揚げ鳥はご覧のスケールである。
これで『半身』だというから、驚くより他にない。
齧り付くと、パリパリとした皮の下から、ジューシーな肉汁があふれてくる。
本来なら、是非ビールと一緒に味わいたいところだ。

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焼鳥好きな娘は、串焼きを6本チョイス。
こちらもアツアツで、たいそう美味かったらしい。
自分の好きなものだけを選んだこともあり、大ぶりの串焼きにとても満足していた。

再び車上の人になり、国道5号でのんびりと札幌へ移動。
満腹の娘は、走り始めて程なく、タンデムシートで眠りにつく。
自分とベルトで繋いでいるため、落ちる心配はないのだが、よくもまあ器用に寝るものだと思う。
背が伸びたこともあり、しっかりとタンデムステップを踏みしめ、トップケースに寄り掛かるようにして寝ているために安定感もバッチリ。
さすがに小さい頃からタンデム慣れしているだけの事はある。

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一昨年に続き、石屋製菓のテーマパーク『白い恋人パーク』に到着。
ここでは、クッキーへの『お絵描き体験』が目当てだ。
一昨年は下調べもせずに立ち寄ったところ、体験ものはすでに予約でいっぱいとなっており、悔しい思いをしていた。
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今年は事前に予約していたのだが、早く着きすぎたようで時間を持て余してしまったのはご愛嬌。
のんびりと食後のティータイムを楽しみながら、時間を過ごした。

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ようやく予約時間となり、体験コーナーでエプロンと帽子を身に着け、靴にビニールカバーを被せる。
娘の作業風景を近くで見たかったので、自分も同じ出で立ちだ。
実はこの『クッキーお絵描き体験』、娘は二度目となる。
最初は3歳の時、まだ力が弱く上手にチューブからクリームが絞り出せなかった娘をカミさんが手伝ったところ、娘が猛抗議。
「ふーちゃんが!ふーちゃんが!」と大泣きしながら、時間をオーバーしてまで自ら絵を描き続けた娘の様子を、昨日のことのように思い出すことが出来る。
そんな娘も今や13歳。子供の成長の早さは、嬉しくもあり寂しくもあり、だ。
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出来上がった作品を手に、満面の笑み。
あとは如何にこの大作を壊さずに家まで持ち帰るか、この時ばかりはバイクであることを少しだけ後悔した。

時計は16時を回っている。そろそろ先を急がねばならない。
今夜の宿までは、あと100km以上も残っているのだ。
混雑する市街地を抜け、国道230号で定山渓あたりまで来ると、そこはもう走りなれた道だ。
ここから中山峠を抜けて喜茂別までは、気持ちの良いワインディングが楽しめる。
しかし、今日は違った。定山渓温泉をぬけた先で、車がピクリとも動かなくなってしまった。
やむを得ず路肩をそろそろと進んでいくと、定山渓トンネルの手前で事故があり対向車線とともに警察官が交通規制をしいていた。
運の良いことに、ちょうど対面通行の形で誘導し始めたところだったので、先行する車を数台パスした後は、貸し切りの中山峠を楽しむことができた。

今夜は道内最後の夜だ。
となれば、行く先は決まっている。もちろん洞爺湖だ。
ここには、20年以上もお世話になり続けている、レストラン『望羊蹄』がある。
毎年定宿として訪れている『大和旅館』にチェックインしたら、まずは汗を流しておきたかった。
30℃近い札幌市内の渋滞は、北の大地は言えどもさすがに厳しい。
部屋でくつろぐ娘を置いて、一人内湯の温泉へと向かった。ヘルメットでおさえつけられた頭に湯をかぶると、生き返ったような気分だ。

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娘と並んで、湖畔へと坂を歩いて降りる。
宿からレストランまでは、歩いて8分ほどの距離だ。夕涼みの散歩にはちょうどいい。
温泉で火照った身体を、湖からの風が優しく冷ましてくれる。

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『望羊蹄』は変わらぬ佇まいで、自分たちを迎えてくれた。
ここ数年は毎年訪れているが、やはりこの店構えをみるとホッと安心するのだ。
前もって「何日に伺います」などと告げているわけではない。
それでも、顔馴染みのウェイトレスが「今年もよくいらっしゃいました」と迎えてくれる。
自分もすっかり『帰ってきた』気分になれる。これがとても嬉しいのだ。

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自分はいつも決まって『ポークチャップ』、娘は悩んだ末に『チキンドリア』と『じゃがいもの冷製スープ』をオーダーした。
2年前にここで食べた『冷製スープ』の味が忘れられないんだそうだ。
やはり文句のつけようのない、変わらぬ美味さだ。
200gで頼んだポークチャップが心なしか大きいように感じたのは、自分が来たことを聞かされた、厨房で鍋をふるう店主の粋な計らいだったらしい。
食後のメロンをいただいて、娘と二人で満足していたところ、ウェイトレスに厨房へ案内された。
そこには店主の小西さんが、温かい笑顔で待っていてくれた。
特に2年ぶりとなる娘の訪問には、とても喜んでくれた。小西さんのお孫さんと同い年の娘だけに、いつも何かにつけて気にかけてくれる。
娘の頭を撫でながら目を細める小西さんを見ていると、連れてきてよかったと心から思う。

繁盛店の厨房の戦力を、このまま独占してばかりもいられない。
もっとゆっくりと話をしたいところだが、ここは自ら失礼することにした。
また来年、会いに来ることを誓って。

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宿へと戻る坂道を歩いていると、背中で「ドーン」と派手な音が響く。
夏の間、毎夜打ち上げられる、洞爺湖名物の花火が夜空を華やかに彩っていた。
これを見ると、夏の終わりを実感させられてしまう。
しばし、娘と空を見上げながら、無口になってしまう自分がいた。

【今日の走行距離:140.9km】
(つづく)