内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

2014北海道ツーリング【8】

◆8月15日(金)
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道内最終日の朝は曇り空。早起きして朝風呂を堪能してから走り出す。
岩内の街まで戻り、国道229号を積丹半島へと向かう。14年ぶりに先端まで回ってみようと思ったのだ。朝食をとるためにコンビニへ立ち寄る。ちょうどこの辺りから『泊村』になる。泊といえば、北海道で唯一の原子力発電所があるところだ。
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ここからすぐ近くに、『とまりん館』というPRセンターがある。腹ごなしに社会科見学を決め込んだが、展示自体は大したことがなかった。

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しかし、ちょっと気になる事があった。どの看板を見ても『泊発電所』と書かれている。
どこを見ても『泊原発』という表記が見られないのだ。原発へのアクセス道路が国道に面しているのだが、肝心の姿は全く見えない。まあ、大っぴらに見せられても先入観があるが故にあまり気持ちのよいものではないが、『エネルギーの街』と銘打っているにも関わらず、中途半端にここまで存在を隠すことに対して、強烈な違和感を覚えた。恐らくは街の主要産業なのだろうが、いろいろと問題も抱えているということか。『フクイチ』の事故以降、アピールの仕方にもナーバスになっているのかもしれない。

先に進もう。神恵内村に入った辺りで、国道から右へそれて山の中へ入る。トーマル峠を越えて古平へと至るルートは、信号一つない2車線のワインディングロードだった。スノーシェッドをくぐるたびに標高が上がり、眼下に鬱蒼とした森林を見下ろす。昨日走った襟裳岬へ至る『黄金道路』のように、断崖が海へと落ち込むようにそびえたっているために、少し陸側に入り込んだだけでこれほど濃密な山中に分け入ることになる。積丹半島全周にわたって海縁ぎりぎりを国道が走っており、横断する道はこのルートしかない。この半島の特異性を物語るとともに、国道を造る苦労がいかほどのものであったか。そもそも、最初にツーリングで訪れた23年前には、神恵内村のところで途切れて、道路は開通していなかったのだから。

古平の街に突き当たると、改めて国道を反時計回りに走っていく。海水浴場には人がごった返しており、北海道の短い夏を心行くまで満喫しようとしているかのようだ。一度国道を外れ、さらに海側を走る道道積丹岬に向かっていく。この辺りの名物『ウニ丼』は、自分の大好物だ。ここらで少しだけ贅沢してもいいだろう。14年前にカミさんと二人で入った店の、名前も場所も忘れてしまったのが悔やまれた。地図に載っている有名店は、駐車場整理が立つほどの盛況ぶり。しかも「生ウニだけの丼は、不漁のため提供できない」との張り紙があった。値段をみると、特にここが安いというわけではなさそうだ。行列に並ぶ気になれず、近くにある少し奥まった店に入った。なんと、そこにはちゃんと『生ウニ丼』があるではないか。なるほど、繁盛店で全員に提供してしまうと、あっという間に無くなってしまうために、敢えて合い盛り丼を進めるというわけか。これも商売なのだろう。

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自分は赤ウニと白ウニが両方載ったどんぶりを選んだ。
口に入れた瞬間に蕩けてしまう。その後に濃厚なウニの風味が口いっぱいに広がるのが、最高にたまらない。やはりこの店を選んでよかった。店主に話を聞くと、確かに先日の台風の影響で、なかなかウニ漁に出られないとのこと。貴重なウニを食べられる幸せに浸りながらも、あっという間に平らげてしまった。

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満足感に包まれて店を後にし、少し走って『神威岬』へ立ち寄った。
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駐車場から岬までは歩いて20分ほどだという。
あまりの人の多さに一瞬悩んだが、これを逃したらなかなか機会はあるまい。ジャケットを脱いで、カメラ片手に岬へと歩き出した。思った以上にアップダウンが続く。先のほうまで見通せるだけに、人の多さとペースの遅さにいささか嫌気がさした。整備されている個所が多いものの、それでも土や石が露出している遊歩道にハイヒールもないものだ。
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ようやく灯台までたどり着くと、丸い水平線を見渡すことができた。見下ろすと、本当に海が蒼い。『積丹ブルー』というやつだ。曇り空にも関わらず、最高の景色を見ることができた。やはりここまで来てよかったと思う。

再び岩内まで戻り、その後は日本海を右手に見ながらひたすら海岸線をトレースしていく。漁港と海水浴場が交互に現れては消える。
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茂津多岬を過ぎて、瀬棚の街で国道230号に入り、再び山の中へと入っていく。
実は、この区間を走ったことで、ようやく北海道の海岸線をほぼ1周したことになった。ここまで走り繋いだ道程と入り組んだ海岸線が、1つの島の雄大なスケール感を教えてくれる。やはり北海道は『でっかいどう』なのだ。

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『美利河』と書いて『ぴりか』と読む。『美利河ダム』でカードをもらうと、これで道内制覇となった。2年がかりでよく回ったものだ。
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そこから一気に函館へ。
函館駅前で土産を買い、あらかじめ予約しておいた五稜郭近くの宿へチェックインした。市電で谷地頭温泉まで行こうかと考えたが、少し疲れていたので宿のシャワーで済ませてしまった。贅沢なことに、この旅で初めて温泉に入らない夜だった。

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夕食は『ラッキーピエロ』。函館市民にとっては馴染みの店だ。
ちょっと欲張って、バーガーとカレーを注文してしまい、あまりの量に少し後悔したが、それでも一年ぶりのこの味は本当に美味しかった。
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市電の走る繁華街を散歩しながら宿へ戻る。
途中のコンビニで、最後の『サッポロクラシック』を買った。

明朝フェリーで本州へと戻る。今日も北海道の道を景色をたっぷりと満喫してはいたが、やはり「今日で終わり」という寂しさもあった。とはいえ、家まではまだまだ遠い。このツーリングで一番長い道程を明日に残していた。最後まで無事に走りきることが自分の責任だ。

【本日の走行距離:412km】