内田輪店

モーターサイクル、特にオフロードバイクが大好物です。 趣味と物欲にまみれた日々を、若干反省しながら綴っていきます。(苦笑)

怪しげな潤滑油のテスト

ある日、知人のFBの書き込みで、何やら怪しげなケミカルが紹介されてました。

この方、いつも独特のアプローチで熱心に製品開発をされてまして、今回初めて“潤滑油”の開発に着手されており。

 

軽い気持ちで「面白そうですね〜」と書き込んだところ、

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すぐにサンプルが届きました。(どうもありがとうございます!)

 

こちらの開発元は『株式会社ランドマスター』と言いまして、クルマやバイクの持つポテンシャルを独自の方法論でさらに引き出す製品を開発している会社です。

自分も以前よりいくつか製品を愛用しており、その都度

「えっ…なんでこんなもん(失礼)で、ここまで変わるの!?」

というくらい、エンジンが力強くなったり、スロットル開閉時の挙動がスムースになったりと驚かされてばかり。

ホント、次から次に面白いものを見せてくれる会社です。

 

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そんな会社が開発中の“潤滑油”ですから、フツーであるわけがありません。

今回のテストサンプルは2種類。

説明書をそのまま引用しますが、

【STD】:非常に低粘度な高性能エステルオイルとカーボンナノ素材による高性能潤滑剤です。極性が強く、金属表面に強く吸着することで潤滑性能を向上させます。塩素系や硫黄系などの極圧剤を含まず、モリブデンなどの添加剤も一切使用していません。金属には有効ですが、樹脂やゴムなどに使用した場合、製品に割れや劣化を生じることがあります。

【SPL】:特殊なオイルを用い、カーボンナノ素材との反応で潤滑力を向上させています。超低粘度でありながら強い皮膜を保ちます。ただ他のオイルとの相性が悪く、化学反応を起こしやすいため、使用する場所は完全脱脂でこのオイルを使用してください。塩素系や硫黄系などの極圧剤は一切含まず、またモリブデンなどの添加剤も使用していません。尚、高温に弱く分解しやすいため、高温になるような場所では使用できません。金属のみならず、樹脂やゴムなども劣化させることがありません。

とのこと。

さて、自分の場合はせっかくだからバイクに使ってみたいと考えました。

ただし、【STD】は金属以外に触れさせたくないし、【SPL】は高温になる場所には適していない…。

そして、どちらも「これが潤滑剤?」と思えるほどにサラッサラの液体なんですよね。

しかも液色は“真っ黒”!これはカーボンナノ素材由来であることが関係しているのかもしれません。

また、一般的な“潤滑剤”にみられるような油分はほとんど感じられず、色からしてもまるで墨汁かインクのよう。

 

ここまでサラサラであるなら、埃などの汚れも吸着しづらいのではと。

ということで、レース車である『X-trainer250』のスロットルワイヤーに注油することにしました。

 

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こちらには【STD】を使用。

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まずは底部に成分が沈殿している場合があるので、液体をよく振り混ぜます。

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シリンジに移して、

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ホルダーから外したスロットルワイヤーのアウターに直接流し込みます。

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といっても、簡単に吸い込んでくれるわけではないので、アウターの口まで満たしたら、

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ワイヤーを動かして、潤滑剤をインナー伝てに中に送り込んでいきます。

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ワイヤーを伝って、潤滑剤がキャブ側から流れ出てきたら終了です。

金属表面への吸着性が高いためか、あまり浸透性が高いわけではなさそうです。

そのため、手動で送り込んであげるのが良いですね。

 

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そして、せっかくなのでもう一種の【SPL】にも働いてもらいましょう。

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スロットルホルダーにプーリー底面が触れるところに塗布。

【SPL】は樹脂部品を痛めないので、こんな箇所に塗ってみました。

とはいえ、普段であれば絶対に潤滑なんてしない場所です。ここは常にドライにしておくのが良いと思ってましたからね。

しかし、この“潤滑剤”は油分ではなく、表面に吸着し皮膜を形成することで摩擦抵抗を減ずること。

そして、埃を呼ぶような粘度がほとんど無いことから、このような使い方もできるのではと考えた次第です。

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最後に真鍮製でできたプーリーの中子にも塗布して、

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組み戻して完成です。

 

さて、キャブ側も組み付けてからスロットル操作を試みると、

とにかく操作がスムーズで軽い!

いい意味で“まるで何も塗っていないかのよう”に一切の抵抗がなく、滑らかにスロットルが回せます。

操作において、油分による“粘り”のようなものは皆無。

あまりに抵抗がなさすぎて、むしろキャブスプリングの反力を強く感じてしまうほどです。

ただ、実際に以前より重くなっているはずはありません。

定性的な官能評価なのであくまでも自分の主観ではありますが、あくまでもスロットルのキレの良さから、そう感じてしまったのでしょう。

 

使い方次第で、まだまだ面白い結果を生むであろうこの“潤滑剤”。

引き続き用途・箇所を検討・試用していきたいと思います。

 

それにしても、やっぱりケミカルは奥が深いなぁ。