フロント周りをやったら、当然お次はリア周りもやるでしょう。
まずはリアホイールから外していきます。
で、アクスルシャフトの頭に回り止め加工が施されているとか。
これ、エンデューロレーサーやXR系のコンペモデルに見られるんですが、市販トレールでここまでやるとは…
ヤマハさん、気合入り過ぎじゃないですか。惚れてまうやろ〜。
そして、ホイールカラーにも一手間かけられておりまして、
段付きカラーになっています。
これは、ホイール脱着の際にカラー脱落を防ぐためのもの。
最近のエンデューロレーサーのホイールカラーではごく軽い圧入がなされていたり、スリットが入っていてそれをシールリップがくわえるなどの脱落防止措置が取られているのはよくある話。
しかし、ハブベアリングに嵌合させることを目的として、ここまでの凝った造りは見たことがありません。
これだけ咥え込んでいれば、そう簡単にホイールカラーが脱落することはありえないでしょう。
そして、カラーがハブとここまでしっかり一体化しているので、
スイングアームエンドにある左右の受けにカラーが載ることにより、アクスルシャフトを抜いてもホイールがスイングアームに残ったままになる、というわけですね。
いやマジで、これホントに凄い設計ですよ!
ワークスマシンならいざ知らず、フツーの市販車ですからね、これ。
これ見た瞬間、ちょっとあまりの感動に血圧が上がりそうでした。
ここからまずはリンク部のシャフトを緩めていくんですが、
この時代のヤマハのオフロードバイクは、シャフトがスイングアームの中を通ってました。
シール用にキャップが嵌っているんですが、
このキャップ、実は嵌合部がストレートではなく、斜めになっているんです。
これも脱落防止や異物や水分混入防止を目的としたものだと思われるんですが、随所までよく考えられているなぁ、と改めて感心します。
ショックユニットのアッパーマウントボルトがバッテリーケースに干渉して抜けなかったので、
面倒くさがらずに外します。(面倒ですけど)
マウントボルトを外しても、別体式のリザーバータンクを引っ張り出すには知恵の輪のように試行錯誤が止まりません。
それでもシャフト類の固着もなく、すんなりとバラせて一安心。
そして、ショックユニットをチェックすると、
「うわぁ…」
なんか嫌な予感はしていたんですが、やはりダンパーロッドに錆が見られます。
ストローク部分にこれだけ錆があると、ちゃんと乗ったらあっという間にシールが抜けてオイル漏れしちゃいますね。
これは『オーバーホール+再メッキ』決定です…ガックリ。
気を取り直して、外したパーツをチェック。
シャフト類は非常に程度が良いですね。
とても29年も前のバイクとは思えないほど。
走行距離が少ないので、チェーンスライダーはまだ大丈夫…と思ったら、破断してました。(涙)
ショックユニットの“入院”が決まったので、今日中に組み戻すのは無理。
なので、
手間の掛かることをちまちまとやります。
ニードルもまだきれいなもんですね。
中にグリスをたっぷり詰め込んで、ニードルを入れ戻していきます。
ちなみにこのアルミ製のリレーアーム、鋳造部品を“削り加工”したものなんですかね。
一瞬「削り出し!?」と思ってしまいましたが、コスト考えるとさすがにそれはないかなー、と。
リレーアームの次はリンクも同様に、ニードルをバラしてグリスアップ。
スイングアームも掃除して、ピボット部のベアリングにこってりグリスアップしておきます。
ちなみに、派生モデルであるツーリングバイク『TT250R Raid』のスイングアームは、ベースモデルである『TT250R』のアルミ製ではなくスチール製。
さらにはドライブチェーンが520から428にサイズダウンされていました。
前者は“コストダウン”のためだと思いますが、後者の理由は何故なんでしょうね。
ショックユニットが戻ってこないとリア周りが組み戻せないので、できるところをちまちまと進めて行きますかね。
(つづく)